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現在の救命の尺度とは~世界が挑戦 市民への統合型救命教育~2

Japan In-depth / 2019年2月21日 11時24分

 


考え方も“3R”にThe Right care 「適切な救護・応急治療によって時間差をつける」を加えた“4R”:The Right care to the Right casualty at the Right location and Right time「適切な治療を必要とする負傷者に適切な場所で適切な時間で提供すること」へと進化している。


 


日本も早期に従来の「○○以内」から真逆の考え方である、救命のために誰もが担うべき役割を果たすことで“Buy the Time”「時間を稼ぐ、時間差をつけて、1人ずつの治療へ持ち込む、稼いだ時間を必要な重症傷病者にまわす」へと進化することが求められている。


 


稼ぐことができる時間は、それぞれ行う処置により異なる。例えば、先述の大腿部にライフル弾銃創を負った場合、3分で出血死してしまうことがあるが、止血帯止血法を適切に行えば、致死的な状況から脱することができる。しかし、止血帯止血法は大変な痛み「ターニケットペイン」を伴うので、20分間とその痛みに耐えられない。故に止血帯止血法により稼げる時間は20分間と限定されるので、特定を示すBuy the timeと表現される。



写真)トリアージ・トレーニング


出典)Army Medicine flickr


 


テロや災害(戦争も含む)は一度に多数の重症傷病者を同時に発生させることに対して、処置や治療は一人ずつ行う他に方策は無い。Buy the time、4Rの考え方に基づいて、同時多発した重症傷病者を緊急度に応じて一人ずつ医療機関に運び込めば、治療を普段通り1人ずつ行うことができる。


 


この「普段通り1人ずつ治療する」ことが救命のための治療能力を最も高く発揮できる。いかに普段通り1人ずつの治療に持ち込むか、この有事医療における“戦術”、戦い方こそが最大多数の最大救命の鍵となる。


 


有事医療の戦術教育の詳細は、http://tacmeda.com/ を参照されたい。様々な公開資料もダウンロードして活用できる。


 


(3に続く。1。全4回)


 


 


本記事における医療監修


高須克弥 医学博士 高須クリニック院長


嘉数 朗/Kakazu Akira M.D.


日本循環器学会 循環器専門医


おもろまちメディカルセンター 循環器内科部長 


Omoromachi Medical Center  Cardiology manager 


那覇市医師会理事 Naha City Medical Association Director


菅谷 明子/Sugaya Akiko M.D.


日本救急医学会 救急科専門医 社会医療法人かりゆし会 ハートライフ病院


血液浄化部 医長


social medical corporation KARIYUSHIKAI Heartlife hospital


金城雄生/Yuki Kinjo, M.D.


琉球大学医学部医学科脳神経外科学


Department of Neurosurgery Faculty of Medicine University of the Ryukyus


 


トップ写真)ボストン・マラソン爆弾テロ事件(2013年4月15日)


出典)Wikimedia Commons(by Aaron "tango" Tang)


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