1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

3種の救命手当教育を1つに~世界が挑戦 市民への統合型救命教育~4

Japan In-depth / 2019年2月23日 11時51分

日本の救命救急の考え方で最も問題であるのは「心臓を生き物であると意識していない、心臓が止まってから何とかしようとする」ことだと言われる。日本語の「救命手当」を英語ではLife Support「生命を支える」と言うように、人の生死は人知の及ぶ領域ではなく、人ができるのは、死に瀕した状態から生へと連れ戻すことに過ぎないとする一神教の考え方の方が実情に則している。


2018年現在、日本では救急救命士に次の特定行為が認められている。



1 食道閉鎖式エアウエイ、ラリンゲアルマスク、または気管内チューブよる気道確保


2 乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保のための輸液(薬剤投与の為)


3 エピネフリン投与(薬剤投与)ブドウ糖溶液の投与


4 乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保および輸液(心停止前静脈路確保)



4以外は呼吸機能と心臓機能のどちらかが停止、または両方停止している心肺機能停止状態にならなければ行うことができない。心肺機能停止前に重症の患者に対して行えるのは、4の増悪(ぞうあく)するショック状態(心原性ショックが強く疑われる場合を除く)である可能性が高い、もしくは、クラッシュ症候群を疑うか、それに至る可能性が高い、15歳以上(推定含む)である傷病者に対して行う静脈路確保のみである。


一方で北米大陸であればカナダからアメリカ、メキシコに至るまで救急救命士は呼吸機能停止、心臓機能停止に陥らないように努めるため、日本よりも行える特定行為が多い。また、日本の救急救命士が特定行為を行えるのは救急車内またはその周辺(医師の具体的指示が届く範囲)に限られているため、病院内や救急車から離れた場所では特定行為は行えない。市民の救命手当教育が普及したとして、そうして繋がれた命の先はどうなるのか、解決すべき課題は山積みである。


 


■ 救命教育に縦串を通せ!3種統合体験型救命教育の取り組み


世界での救命に関する進歩は速い、ILCOR(※1)が定めるガイドラインも2015年までは5年毎に作成されてきたが、2017年からILCORは迅速な対応をするため1年毎にCoSTR集(※2)として発表し重要なトピックについて迅速な勧告がなされることになった。市民に対しては図「統合体験型救命手当教育」にあるように、それぞれに行ってきた救命教育を一つに統合する傾向がある。非外傷性心肺停止、外傷、熱中症による生命の危機は1人の身体上に起こることであるから、1つの考え方で3種類に体系的に対応できた方が救命率の向上を期待できる。


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください