緊急避妊薬を手に入れやすく
Japan In-depth / 2019年3月15日 18時0分
▲写真 染矢明日香氏(NPO法人ピルコン理事長)©Japan In-depth編集部
中学校・高校への講演活動の事前アンケートで、避妊についての問題の正答率が4割にとどまったことに衝撃を受けたという。「心と体を守る情報を大人が与えることが大切」と述べた。中学校の保健体育の教科書には性行為について、高校の保健体育の教科書にはコンドームの適切な使用方法や緊急避妊についての記載がないことを問題として指摘し、「十分に情報を与えないことは、当事者に責任を押し付けている」と述べた。
望まない妊娠・中絶の問題は、貧困や虐待、いじめ、性非行と密接に関わって、連鎖的な構造を持っていると説明した。一方で、性教育によって、性行動を慎重化するという調査結果を示した。
1.ユネスコ調査で、性教育が性行動を早めたとする研究は0%であり、37%では、性教育が性行動を遅らせるという結果が出た。
2.秋田県で、中高生向けの性教育の取り組みを始めた後、10代の中絶率が大幅に低下した。
さらに、緊急避妊薬を使用した当事者の声を紹介し、「様々な立場の人がそれぞれに意見を発信しているのはもったいない。意図しない妊娠に悩まない、その人らしい人生を守る方法を一緒に考えたい」と、この勉強会の目的を改めて述べた。
・中野宏美氏(NPO法人しあわせなみだ代表理事)
しあわせなみだは、性暴力撲滅のため啓発活動を行うNPO法人。性暴力の観点から、緊急避妊薬のアクセス改善の必要性を訴えた。
「性暴力を受けたら警察や医療関係者に相談する」というのは理想論に過ぎず、性暴力被害の警察への届け出は全体の3.7%、医療関係者への相談は1.8%にとどまっているという。早期の服薬、親や友達に知られずに購入することを可能にする仕組みが必要と主張した。
ただし、OTC化が進んだ場合に考えられる問題として以下の点を挙げ、
・性感染症の検査、治療ができない
・心のケアまで行き届かない
性教育により正しい知識を広めること、相談先の提供を進めることを、解決策として提案した。
▲写真 中野宏美氏(NPO法人しあわせなみだ代表理事)©Japan In-depth編集部
・田中雅子氏(上智大学総合グローバル学部教授)
国際協力とジェンダー論を専門とする田中氏は、「外国人女性」の視点から、緊急避妊薬のアクセスにおける課題について語った。活動の背景には、自身が外国人女性として海外で暮らした経験や、その間日本の性をめぐる環境が進歩していなかったこと、日本に住む外国人女性と関わってきた経験があるという。
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