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新防衛大綱・中期防を読む(下)

Japan In-depth / 2019年4月3日 23時0分

新防衛大綱・中期防を読む(下)


清谷信一(軍事ジャーナリスト)


【まとめ】


・不要装備維持で人員不足の陸自。戦車、火砲の早急な削減を。


・問題多いイージス・アショア、高速滑空弾部隊の必要性も疑問。


・島嶼防衛に本気なら特殊部隊の拡大と兵力投射手段の充実を。


 


【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=45047でお読みください。】


 


本年度からの新防衛大綱(大綱)及び、中期防衛力整備計画(中期防)では陸上自衛隊にとって大変厳しく大きな変革を強いる内容となっていると言ってよい。


まず次期攻撃ヘリが案件となっているが、中期防には「戦闘ヘリコプターについて、各方面隊直轄の戦闘ヘリコプター部隊を縮小するとともに、効果的かつ効率的に運用できるよう配備の見直し等を検討する」とある。



▲写真 陸自の攻撃ヘリAH-64D 出典:陸上自衛隊ホームページ


陸自の攻撃ヘリAH-64Dは陸自の当事者能力の欠如により、わずか13機で調達が打ち切られ、同機で更新されるはずだったAH-1Sは近代化もされずに用途廃止が進んでいる。これらの後継となる攻撃/武装ヘリは削減する。


これまで取材した限りでは2個飛行隊程度の調達が検討されているようだ。これは妥当だろう。AH-64Dの予定と同じ60機も調達すれば他の予算や維持整備が圧迫されて稼働率が大幅に下がるだろう。


ヘリコプターでは寧ろ問題は偵察ヘリだ。本来OH-6の後継で導入されたOH-1は高額であったこともあり、わずか34機で調達が中止され、しかも以前はローターブレードの不具合、現在はエンジンの不具合で都合4年以上も全機が飛行停止であり、その間OH-6の用途廃止が進んでおり、飛行可能なOH-6は40機程度に過ぎないという。



▲写真 陸自OH-1 出典:陸上自衛隊ホームページ


OH-1が全機飛行可能になるのは装備庁によるとあと10年はかかるとのことであり、そうであれば当分使用可能な偵察ヘリは極めて少なくなる。陸幕は、偵察任務はボーイングのUAV、スキャンイーグルと、光学電子センサーマウントを搭載したUH-1系列で補う予定だ。だが偵察ヘリで行っていた連絡や軽輸送という業務は支障をきたすようになるだろう。


OH-1は今後も使用を続けるならば約500億円の経費がかり、部隊も維持しないとならない。であればOH-1は廃止し、民間転用の軽攻撃ヘリを兼ねた観測ヘリを導入すべきではないだろうか。


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