金正恩、再び軍事挑発の狙い
Japan In-depth / 2019年5月15日 12時3分
朴斗鎮(コリア国際研究所所長)
【まとめ】
・短距離弾道ミサイル発射の背景に米朝首脳会談の失敗。
・金正恩は権威回復の為、米挑発の道しかなかった。
・金正恩は「力による安全」主張、文大統領の「平和構想」破綻。
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北朝鮮の金正恩委員長は、「ミサイル発射と核実験は行わない」とのトランプ米大統領と交わした約束を早々と破っただけでなく、今年の年末まで忍耐強く待つとした方針まで投げ捨てて国連安保理決議に違反するミサイル発射の挑発に出てきた。
1、北朝鮮の短距離ミサイル発射認識で米日韓の対応に乱れ
5月4日午前9時6分~同27分、東部の元山・虎島(ホド)半島から東側に向け短距離弾道ミサイル2発と240mm新型放射砲(多連装ロケット)など約10発を発射した。約70~200余キロを飛行したという。
この発射に対して5月6日、パトリック・シャナハン米国防長官は、米国上院予算員会聴問会で、明確にミサイルと証言した。ダンフォード合同参謀本部議長もミサイルと断言している。
しかし韓国、米国、日本の各政府は、この5月4日発射のミサイルに対して、共に「飛翔体発射」などと「あいまい対応」に出た。韓国国防部に至っては発射直後にはミサイルと発表しながら、大統領府からの指示があったのか、40分後に「飛翔体」と言い換える醜態をみせた。それぞれの国が、金正恩委員長との対話に未練を持っていたからだと思われる。
▲写真 ミサイルの発射を視察する金正恩委員長(2019年5月4日) 出典:DPRK twitter
しかし金正恩は、米日韓のこうした対応を嘲笑うかの如く、続けて5月9日午後4時29分と同49分(日本時間)には、平壌の北西約160kmの平安北道亀城(クソン)から再びミサイルを2発発射した。高度約50Kmまで上昇し、飛距離は各々270Kmと420Kmだったとされる。韓国軍は当初この発射が「シンオリ」基地からなされたとしたが、実際はそこから40Km離れた亀城(クソン)だった。このことが分かるまでに40分もかかった。実際の戦闘が行われていたら韓国軍は壊滅的打撃を受けていただろう。
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