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中印対立激化は日本に好都合

Japan In-depth / 2019年7月3日 7時34分

中印対立激化は日本に好都合


文谷数重(軍事専門誌ライター)


【まとめ】


・一帯一路の鉄道完成で中国の潜在的行動力は向上。中国強硬化へ。


・中印対立など南アジア内陸部で不安定化もたらし、中国は力を費消へ。


・中国の脅威の西方化により日本の安全保障には好都合。


 


【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=46563でお読みください。】


 


一帯一路は順調に進んでいる。これは中国が主導する交通と市場の開発である。一帯は中央アジアを経由し欧州に至る地域の開発を指す。一路は同じくインド洋から欧州・アフリカ東岸に至る経路の開発である。


構想には中尼鉄路建設も含まれている。中国主要部からチベット自治区を経由しネパールに至る高原鉄道の建設だ。すでにラサまでの青蔵鉄路、そこからシガツェに至る拉日鉄路は完成した。国境のギーロンまでをつなぐ日吉鉄路も完成間近である。そして2020年からはカトマンズへの延伸工事が始まる。



▲図 中国とネパールを連絡する中尼鉄路。青蔵鉄路、拉日鉄路、建設中の日吉鉄路を経てカトマンヅに至る。筆者作図。


この拉尼鉄道建設は日本の安全保障にとって好都合ではないか?


鉄道は南アジア内陸部に対立を引き起こす原因となるためだ。その理由は次の3つ。第1に中印対立を助長すること。第2にチベットにおける民族性矛盾を拡大させること。第3に南アジアにおいて中国強硬化をもたらすことだ。


 


■ 一帯一路は悪い話ではない


一帯一路は日本にとって悪い話なのだろうか?


中国脅威論の立場では悪夢とされる。中国による世界支配とされる。かつての日本軍国主義による世界征服、八紘一宇と同じ扱いである。


だが、日本にとっては悪い話ではない。中国の進出方向が日本の真反対となる西に向かう形だからだ。


中央アジアへの進出は中露の潜在的な対立をもたらす。これは以前に「『一帯一路』協力は日本の安全保障の利益」で述べたとおり。


同様の事態は南アジアでも発生する。中国とネパールを結ぶ中尼鉄路の建設はそれを引き起こす。これも日本にとって都合がよい話となる。中国は南アジア内陸部においても進んで厄介を抱え込むのである。



▲写真 ネパール軽便鉄道。ネパールにも鉄道は存在する。ただし路線長50km、しかも軌間2フィート6インチ/762ミリの軽便鉄道であり平原地帯限りでカトマンヅに連絡していない。写真はWIKIMEDIAより入手した運行状況。(撮影:Ralf Lotys)CC BY 3.0


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