パフォーマンス理論 その17 ピーキングについて
Japan In-depth / 2019年7月12日 7時0分
為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役
【まとめ】
ピーキングとは陸上競技の様に一発勝負のパフォーマンスを要求される競技において、本番にピークを合わせる技術のことである。
各競技特性によりピーキングの定義は異なる。
ピーキングの技術は試行錯誤を繰り返し自分の身体の反応を理解することで向上する。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depth https://japan-indepth.jp/?p=46734 のサイトでお読みください。】
年間を通してリーグ戦を行う種目と違い、陸上競技は五輪や世界陸上など、一試合の結果が評価を分ける。このような一年に一度の試合での成果が評価に影響するような競技には、本番にピークを合わせるピーキングと呼ばれる技術がある。例えば私で言えば1ヶ月前まで同じ調子だったとしても、ピーキングがうまくいったときは48″00周辺で、うまくいかなければ48″40周辺の違いがあったと思っている。この二つの間にはメダルが取れるタイムと、準決勝で落ちるかまたは決勝で8位ぐらいの差がある。競技レベルが上がれば上がるほど、選手同士の競技力の差が小さくなるのでピーキングは重要な技術になる。
ピーキングの原理はどうなっているのか。人体には与えられた刺激に対し、適応しようとする性質がある。長い距離を走れば長い距離を走ることに適応し、重たいものを持ち上げれば重たいものを持ち上げることに適応する。刺激が入った後は一時的に疲労しパフォーマンスは落ちるが、その後リバウンドし刺激を入れる前よりも適応する。筋トレを行なったと筋肉が太くなるのも同じ原理だ。ピーキングとはこの刺激と回復の揺らぎを利用して試合の瞬間に最も競技に適応した状態を作り出す技術である。一方でたった一つの要素で構成されているほどスポーツはシンプルではない。ハードルで言えば、速く走れる能力、一定時間速度を維持する能力、ハードル技術などがある。だからピーキングのプロセスでどこにいつどんな刺激を入れるのかによって結果は変わってくる。またシンプルに試合と同じ刺激を入れればいいと考えがちだが、ピーキングには当然精神面も含まれていて試合が続けば精神は疲弊する。本番で心身ともにフレッシュな状態で挑めなければ力は出しきれない。
この記事に関連するニュース
-
【走り方改革】西武・高松渡が盗塁増加へ 秋本スプリントコーチと猛特訓
日テレNEWS NNN / 2024年7月5日 17時33分
-
女子走幅跳の秦澄美鈴が優勝でパリ五輪代表に内定、厚底スパイクでの新しい跳躍に挑戦する“変化を怖れない”メンタル【日本選手権4日目】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月5日 12時0分
-
岩手から母と二人で世界へ…パラ陸上小野寺萌恵 。YouTubeが14歳に見せた「夢」を叶えるとき
集英社オンライン / 2024年7月3日 11時0分
-
男子走幅跳の橋岡優輝が優勝でパリ五輪内定も内容に不満 五輪本番まで「忙しい1か月になる」【日本選手権3日目】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年6月30日 13時0分
-
陸上・丹羽遥奈 中距離はとにかくキツくて変人だらけ
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年6月18日 14時59分
ランキング
-
1女子バスケ日本が長所を失っても強い理由 五輪でも必要な「走り勝つシューター軍団」の真骨頂
THE ANSWER / 2024年7月6日 20時33分
-
2楽天ルーキー左腕・古謝(こじゃ)樹が6回零封で2勝目!同学年の黒川史陽が1号2ランの援護弾
スポニチアネックス / 2024年7月6日 17時22分
-
3【女子バスケ】日本がニュージーランドを圧倒!五輪前国内最後の強化試合 2大会連続メダルへ弾み
スポニチアネックス / 2024年7月6日 15時16分
-
4無死満塁から3K斬り…藤浪晋太郎を「昇格させろ」 マイナーで無双、高まる“待望論”
Full-Count / 2024年7月6日 18時32分
-
5【阪神・岡田監督語録 TV取材】阪神監督歴代最多の515勝に「ボールは家に持って帰ります」
スポニチアネックス / 2024年7月6日 21時55分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください