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パフォーマンス理論 その17 ピーキングについて

Japan In-depth / 2019年7月12日 7時0分

試合前の典型的なパターンは以下のようなものだった。このピーキング手法の原型は高野進さんから伝授されたものだ。重要なのは試合の2,3週間前の走り込み(だいたい合宿)でここでしっかり走れると、あとはほとんど何もしなくてよかった。経験でもこの時期がよくなかった場合はほとんど本番はひっくり返せなかった。太字は刺激の日である。極端なことを言えばこの太字さえこなさえれば後の日はすべて休みでも大して問題はなかったし、競技人生終盤は本当に休んでいた。


23日前-3台目×2,5台目×2


22日前-300H


21日前-rest


20日前-1,2,3,4,5台目+4,5,6,7,8台目


19日前-350m,250m(39″5,27″0))


18日前-rest


17日前-SD30m×3,50m×2


16日前-450m×2(54″5,53″0)


15日前-疲労抜き


14日前-疲労抜き


13日前-疲労抜き


12日前-準備


11日前-450m (やや長めの刺激)


10日前-休み


9日前-休み


8日前-準備


7日前-200m+200m(21″8,23″5)


6日前-休み


5日前-準備


4日前-300H(33″0)※290m, 9台目着地時点


3日前-休み


2日前-休み


1日前-ハードル3台目までのシミュレーション


400H予選


400H準決勝


rest


400H決勝


基本的には試合から遠いほど長めの距離でスピード維持能力を重要視し、試合が近づくほどスピードと技術を重要視していた。この場合でも23-16日前の練習が重要で、ここが上手くできれば9割型調整は上手くいった。ただ刺激が上手くいくというのはただ走ればいいだけではなく、主要な筋肉を使いながらちゃんと力を出せることが大事で、若くて技術が低いときは刺激も弱いので試合前に練習不足になることも多かった。試合前の刺激は本数が少なく質が高いのでより技術が重要になる。


振り返って人生で最も失敗したのは2004年のアテネ五輪の11日前の練習だった。250m+150mという練習を予定していたが、ほんの少しだけ疲れが残っていた。当日のギリギリまで刺激を入れようかどうしようか迷ったが、メニュー通りにその練習をすることにした。それから五輪当日まで結局疲れが抜けきらず、本番の準決勝で0″01差で落ちた。そしてその二日後にすごく調子がよくなってしまい悔やんだのを覚えている。反対にヘルシンキの世界陸上では筋肉に力が入らないのが疲れか、練習不足かどちらかわからず迷ったが、刺激を入れることにした。これにより筋肉に張りが生まれ調子が上向いていった。私の世界大会代表経験は7回程度なので、7回しか試せる機会がないという点でピーキングは本当に難しいと感じていた。


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