パフォーマンス理論 その17 ピーキングについて
Japan In-depth / 2019年7月12日 7時0分
競技によってピーキングのやり方はだいぶ変わってくる。陸上競技はプライオメトリック的な着地の瞬間の衝撃がある競技なので一回の試技のダメージが大きい。だからピーキングのプロセスでは回復のために休養を増やし、揺らぎを大きくせざるを得ない。一方で、水泳などの着地のインパクトがない競技は主観的には辛くてもプライオメトリック系ではないので身体へのダメージがそれほど大きくなく(おそらく選手が複数メダルを取れるのもこの競技特性のため)かつ有酸素が重要なので試合前まで練習を続けている印象がある。陸上でも有酸素系の長距離は基本的に休養が少ない。技術系競技は繊細さから感覚がわからなくなる時間を置きたくないだろうし、チーム競技はチームプレイがあるのでそれを前提に考えると思う。このように各競技競技特性により、ピークパフォーマンスの定義が違うのでピーキングの考え方も違う。
走りは能動的に筋肉を動かしているわけではなく、着地の瞬間に筋肉を固めることで足がゴムのようになり、反発して走る。よく選手が試合前にちょうどいい張りがあるといいというが、これは張りがあることにより反発がよくなる感覚があるからだ。反対に筋肉が緩みすぎているとこの反発が起こらないのでバネがない状態になってしまい速く走れない。マッサージを嫌がる選手が時々いるが、このちょうどいい筋肉の張りがなくなってしまうことを恐れているからだ。また、練習をしすぎて張りがありすぎてもそれはそれで古びたゴムのようなものでうまく反発できないし怪我の恐れもある。私にとってのピーキングとは、シンプルに言えば筋肉の張力の調整だった。良い状態の筋肉は、張りがある硬いゴムのような状態だった。
ではどのようなトレーニングを行えば筋肉に張りが出るのか。広義でのピーキングは1年単位で行われる。1年間で言えばだいたい以下のような分類だった。
10-1月 トレーニング期
2-4月 移行期
5-8月 シーズン
9月 休み
だった。特に重要だったのはトレーニング期で、ここでしっかりとトレーニングが詰めていればあとは調整をするだけだった。反対にいうとトレーニング期がしっかり走れていないと、練習をしながら調整をするという二つのことをやらざるを得なくなり上手くいかないことが多かった。刀の研ぎで言えば、なんども叩いて折り返すことで厚みがあり硬さがある刀の身をトレーニング期に作っておき、強度を保ったまま夏に向けて研ぎ澄ませるようなイメージだ。冬に厚みを作れないと研いだ時に頼りない刀身になって切れ味が出なかった印象だ。
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