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パフォーマンス理論 その18 諦めない技術について

Japan In-depth / 2019年7月13日 7時0分

パフォーマンス理論 その18 諦めない技術について


為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役


 


【まとめ】



諦めない技術とはいくつか段階がある。(練習を続けるかどうかの習慣化の話、苦しい練習に諦めないで耐える話、そして長期の目標達成の話)
長期的に諦めない技術は、反応を薄くする、目標を小分けにする、自分を信じすぎない。
諦めないことは手段であるが目的ではないため、時には諦めてうまくいくこともある。

 


【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depth https://japan-indepth.jp/?p=46750 のサイトでお読みください。】


 


諦めるのかどうかは、性質・性格(根性)が全てと思われているが、私は技術の要素がそれなりにあると思っている。諦めない技術にもいくつか段階がある。練習を続けるかどうかの習慣化の話、苦しい練習に諦めないで耐える話、そして長期の目標達成の話の三段階で私は捉えている。よく歯磨きに例えられるように、決めたことを継続するのは習慣化の話になるが、日常的に練習をしているある程度レベル以上の人を対象にしているので、練習を続けるといったような習慣化は済んでいるものとして残りに二つについて書いていきたい。


苦しい練習については、痛みや苦しさに耐えきれなくて諦めることがほとんどだろう。人間の痛みや辛さは同じ状況でも感じやすい人もいれば、感じにくい人もいる。ダンアリエリーによれば痛みにも多少の適応があるそうだ。練習の苦しみや痛みは避けられないが、どこに意識を置くかによって感じ方はずいぶん違う。例えば火事で必死になって逃げている時に、自分のふくらはぎに切り傷ができていても気付くことはない。それがホッとした瞬間に痛みに気づく。


苦しい練習で自分の苦しみや痛みに意識を向けないことが大事だ。何にも意識を向けないのが一番いいが、人間の頭はつい何かを考えてしまうもので、せめて何か別のことに意識が向けられていることが望ましい。私は痛い苦しいということを意識に上らせないために、数字をカウントして気をそらしていた。ともかく苦しいことからは絶対に競技スポーツは逃げられないので、自分と心を一体化させない方がいい。機械が諦めないのは心がないからだ。少なくとも苦しみに耐える時には心を自分からうまく外しておかなければならない。


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