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パフォーマンス理論 その18 諦めない技術について

Japan In-depth / 2019年7月13日 7時0分

長期的に諦めない技術は以下の三つに分けていた。


 


①反応を薄くする


②目標を小分けにする


③自分を信じすぎない


 


①反応を薄くする


諦める人間はリアクションが大きい。難しいタスクを行なっている時、諦めやすい人ほどリアクションが大きかったという実験結果もある。リアクションが大きい人間は、感情的で、感情が表に出ることを抑えられない、などの要素がある。人間は期待と結果の差がある時に心的にダメージを受け諦めるのだが、感情的な人間は自分の見方・願望が強く出すぎるので期待が大きくなり、失敗した時の落胆も大きい。


私はかなり感情的な人間だが、辛い練習や試合で成功失敗を繰り返していくたびに、一喜一憂していては心が持たないと思い、少なくとも競技においては淡々とすることを目指すようになった。具体的には表情を殺すことを意識していた。人間は感情が表情を作るが、表情によって感情も影響される。感情に直接手を突っ込んでコントロールできないので、コントロールできる表情から入り淡々とするようにしていた。競技中は能面をいつもイメージしていた。その方がなんとなく心の揺らぎが小さく感じられたからだ。


どれだけ競技歴が長くなっても心が揺らがないということはなかった。心が揺らぐことではなく、揺らぎ続けることでいつも深刻な問題が起きていた。人間なのでうまくいけばうれしいし、失敗すれば落ち込むが、それがすぐ平常運転に戻れば問題ない。諦めない人間は平常心というよりも、乱れてから収束するまでの時間が短い印象だった。


ちなみに短期(10年程度)の場合は感情的でも持つと思っている。勢いがあり淡々としている人間よりもむしろ感情的な方が根性があるように見えるのかもしれない。だが、10年を越え、20年近くになると、競技力も頂点近くになるので成功より失敗の方が多くなる。その頃から徐々に落胆の大きさに心が耐えられなっている印象だった。競技を長くやった選手は老成した印象を持つが、そのような性格の人間が生き残るというよりも適応の結果そうした性格に仕上がるのではないかと私は思っている。夜と霧の中でアウシュビッツで人が多く亡くなったのはクリスマスの後だと書かれてある。期待がなければ落胆もない。


 


②目標を小分けにする


よくトップアスリートの小学生のころの文章が出回り、オリンピアンは小さい頃からオリンピックを目指していたんだと皆が褒めることがあるが、私の経験上才能のある子どもはみんなオリンピックや、ワールドカップ、プロ野球と書いていた。もちろんオリンピックに行けなかった選手の方が多い。私の感覚では大きな夢は競技成績とはそこまで相関がなく、それよりも日々の小さな目標設定と振り返りの方がよほど競技成績に影響をしていたと思っている。


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