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パフォーマンス理論 その18 諦めない技術について

Japan In-depth / 2019年7月13日 7時0分

大きな目標は聞こえはいいが、では具体的に明日何をすればいいかは教えてくれない。自分を成長させるのは結局具体的な練習しかない。練習の中で何を意識し何を目指し何を達成すれば勝利とするのか。これを決めて日々取り組み、そして帰り道でうまくいったのかいかなかったのか、いかなかったならそれはなぜなのかを振り返り、反省する。そしてまた明日の目標を決める。大きな目標よりもこのようなごくごく短期の目標と実践と振り返りの方が影響が大きかったように思う。


私は毎日に勝敗表をつけていた。基本的に毎日に目標があり、練習が終わって帰り際にその目標を達成できたかどうかで勝敗をつけていた。勝敗は6勝4敗ぐらいが一番やる気が出た。長期でも目標は持っていたが、それよりは1ヶ月程度の目標の方が競技力には効いたように思う。1ヶ月単位で考えることは副次的なメリットがあって、例えば怪我や調子が悪いことなどで最初の1週間全く練習できなくても後半で挽回して帳尻を合わせることができる。これが短すぎたり1日単位だと無理をしすぎてしまう。1ヶ月ぐらいでなんとなくバランスを取るぐらいが私にとってはちょうどよかった。


 


③自分を信じすぎない


どうすれば諦めないで済むかと言えば、諦めるという選択を選びさえしなければ理屈上は諦めていないことになる。つまり諦めないということは、諦めることを先延ばししている状態とも言える。人間は記憶を無意識に(または意識的に)編集することが知られている。特に勝者は意図せず過去を編集してしまうので、仮にそうではないプロセスだったとしても、苦しい時も諦めずに目標を持って頑張ったという話になりがちだ。だが、少なくとも私の例で言えば、諦めるという選択を先延ばししてなんとかやり過ごしたという方が近い。


私は強い精神モデルと、弱い精神モデルの二つで自分を捉えていた。前者は自分は精神的に強いし強くなれる。だから自分の意思で自分はコントロールできるというモデルだ。後者は自分は精神的に弱く強くなれない。だから自分の意思で自分はコントロールしきれないというモデルだ。


私の競技人生は最初は強い精神モデルで進んでいたが、スランプや敗北の際に精神的に脆く崩れる自分を間近で見てしまったので、途中で強い精神モデルを信じられなくなってしまった。途中から弱い精神モデルに切り替え、自分は弱いので、誘惑が少ない環境を構築することを重要視した。例えばダイエットをしたいならまず冷蔵庫から無駄なものを捨て、コンビニから遠くに住めば、トリガーになるものも少なく、いざ何か食べたくなっても買いに行くめんどくささと比較して、買わないことが増える。このように自分が弱いのであれば誘惑に負けにくい環境を先に作ってしまえば結果として諦めにくくなる。


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