防衛省がフリーランスを排除
Japan In-depth / 2019年7月28日 12時0分
仮に大臣に不愉快な質問をすると、その社だけが情報を与えられず、他社が全て報道した内容を報道できない、いわゆる「特落ち」の嫌がらせをされる。このため会見では多くの場合、当たり障りのない質問がわずかにあり、多くの記者はひたすらラップトップで大臣や幕僚長の発言を書き写しているだけだ。
仮に防衛省側が会見室のスペースが小さいことを理由にフリーランスの会見参加をペンディングにするならば、ラップトップを使って書き写しているだけの、質問しない記者は記者室の自席で仕事を行うか、あるいは代表者が一人書き写せばいいだろう。そうすれば席に余裕ができるはずだ。もっとも記者クラブ関係者ですらスペースに余裕があるといっているが。
更に申せば記者のほとんどは軍事的な知識がない。単に会社の命令で防衛省という役所の担当になっているだけだ。このため質問に必要な基礎的な知識が欠けている場合が少なくない。
それで我々のような専門記者を排除するのだから記者会見で真摯な応答がされるわけがない。手前味噌だが筆者は専門記者として30年近いキャリアがあり、海外取材も多くこなし、日本の専門誌はもちろん世界的に評価の高いJane’s Defence Weeklyやその他海外メディアの特派員もこなしてきた。記者クラブにはそのような記者はいない。
フリーランスだけではなく業界紙、専門紙や専門誌などのメディアも同様に参加できない。例えば財務省や経産省の会見に経済誌である「週刊東洋経済」の記者は参加できない。だから防衛省で問題が起きると記者クラブメディアがこぞって筆者のところに取材にくる。これではジャーナリズムに期待される権力の監視は不可能だ。
このような奇特な「記者クラブ制度」を持つ国は世界にほとんどなく、先進国では我が国だけだ。このため諸外国からも批判されている。
筆者は過去外国メディアの特派員として3年ほど防衛省の記者会見に参加したが、大臣が困窮するような質問をしたらNHK政治部の防衛省キャップ、鈴木徹也記者からそのような質問をするなと恫喝された。(参考:著者過去記事①、②)
報道側や国民の知る権利よりも本来監視すべき権力の側についているといえよう。あとは役所の伝えたいことを、読者・視聴者に伝えるだけ。これが、記者クラブメディアがいわゆる「発表ジャーナリズム」と呼ばれる所以である。
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