防衛省がフリーランスを排除
Japan In-depth / 2019年7月28日 12時0分
筆者は当時会見に参加し、多くの厳しい質問を投げかけてきた。これは東洋経済オンラインの記事にも反映されている。特に陸上自衛隊のファースト・エイド・キット、「個人携行救急品」だ。筆者はこれをとりあげ、自衛隊の衛生のレベルが極めて低いことを執拗に追及した。(※参照:著者過去記事①、②、③、④、⑤)。
これは防衛省内外で衝撃を持って受け止められ、当時「防衛省・自衛隊の第一線救護における適確な救命に関する検討会」の座長であった佐々木勝都立広尾病院院長(当時)も「月刊WILL」2015年11月号で防衛省に批判的な記事を寄稿した。防衛省の主催する審議会の座長がこのような批判記事を寄稿することは極めて異例である。
防衛省は陸自の「個人携行救急品」が米軍のそれに匹敵すると称し、岩田清文陸幕長(当時)や中谷元防衛大臣(当時)もそのように答弁したが、事実ではなかったことが判明した。
その後政治もこの問題に注目し、2016年11月15日に自衛隊の救急救命医療の整備、救急品の適切な装備化を目的とする「第一線救急救命処置体制の整備に関する法律案」を提出した。また、2016年9月30日、衆議院予算委員会にて当時、民進党の辻元清美議員が「月刊軍事研究」2016年8月号の拙稿「四肢が吹き飛ぶ戦闘外傷からのサバイバル」の内容を元に質問を行うなどした。(※参考記事)
これらの事があってか、防衛省も現行の個人衛生キットは十分ではないと認めるようになってきた。また岩田陸幕長は衛生関係者を10名以上更迭したという。(※参照:著者過去記事①、②、③)
このため平成28度の防衛省補正予算では個人衛生携行品の強化のために約14.6億円が盛り込まれた。また平成31年には更に9品目中3品目の見直しも行われた。更に筆者は長年途上国でも有している装甲野戦救急車がないと指摘し、記者会見でも質問してきたが、現在の中期防衛力整備計画ではその調達が明記されている。中期防に明記しないと陸幕がサボるとNSC(国家安全保障会議)や財務省が心配したからだろう。
これらの改革は、防衛省や陸自にとってはよいことだと思うが、彼らにしてみれば筆者に屈し、メンツを潰されたという思いがあるのだろう。そのためか筆者や協力者に対する露骨な脅迫も受けている。山崎幸二陸幕長(当時。現統幕長)公認だと騙って、陸幕の部長、課長クラスが組織的に、筆者が政治家向けに行っている勉強会に露骨な妨害を行い、さらに、やってもいない機密漏洩を理由に中央調査隊が筆者の身辺調査も行うなどの嫌がらせをしている。まるで戦時中の憲兵気取りであり、こういうことを制服組が何の疑問も持たずに行えるという神経をもっているのは、記者クラブによる権力の監視が働いていない証左だろう。これらは文民統制の面からも由々しき問題であり、看過できない。
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