可能性に「気付き」、将来を「築く」 〜何度でもやり直せる社会を目指して〜 (後編)
Japan In-depth / 2019年9月20日 11時0分
しかし、対象となる子どもはあまり出席しなかった。
そこで足立区は家庭教師形式(アウトリーチ形式)の支援を開始し、キズキグループが受託したのだ。
安田氏はこれについて、「効果的な支援ができていると思う。ただし、家庭教師形式だと支援できる人数が現実的に限られてしまう一面もある。納税者の立場からすると、同じ予算でもっと多くの人を支援できる方法・施策があるのではないかと考える人も多いと思う。」と現状を伝えた。
また、予算については、行政の人たちも、法律や条例などに基づきつつどう配分するのか気にかけているという。
安田氏は、「もちろん法律は尊重しなくてはならない。ただ、予算に限らず、福祉の世界に法律を持ち込み『すぎる』のがいいかというとと、現実の支援においては曖昧なところもある。福祉業界には、法律と現実の間を求められている現状があるのではないか。」と述べた。
キズキグループの今後の展望について、安田氏は以下3点を挙げた。
・現在全国に7校舎あるキズキ共育塾と、新設したキズキビジネスカレッジスクールをどんどん増やす。
・現在全国で7つの自治体から受注している仕事を増やしていく。
・社員をより多く雇い、支援の量を増やしていく。
「不登校で学校にいけない人も、鬱や発達障害で働けない人も、結局何が問題かというと、『不登校になったり鬱病で会社に行けなかったりすると将来が終わる』という価値観があることだ。その価値観を変えるには、同じ状況から抜け出した人が社会に溢れ出すこと。自分と同じような人やロールモデルがたくさんいれば、不登校もうつ病経験もたいした問題はないと思えるようになる。」と、安田氏は人々の価値観を変化させ、支援する方針を示した。
また、安田氏は鬱や発達障害の人の為の結婚相談所もやりたいと語った。
「今までの福祉は、働く為の支援はやってきたが、家族をつくるなどのプライベートな支援をほぼしていない。あとは、移民や難民を含めた支援など、いろんな展望があるが、まずは今あるものをどんどん大きくすることに力を使っていく。」と、海外へも視野を広げていることを話した。
鬱や不登校の人にとって必要なものは何か聞くと、安田氏は「自己肯定感」と答えた。
「自己肯定感を他人が担保するか自分で担保するかは人によって違って、どっちでもいい。自分一人では自信が持てないけど、色々な人に優しくしてもらうことで『自分が生きている意味がある』と思える人もいる。」安田氏は自己肯定感、自分の生きている価値を感じることが重要だと話した。
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