仏の難民 想像を絶する苦難

Japan In-depth / 2019年9月29日 23時0分

その後、家族がそろった時点で県庁に難民申請をし、無事申請が通った。そして、その町で移住が許可された初めてのシリア難民となったのだ。申請が通ると居住者としての滞在許可書が発行される。滞在許可書を一年置きに更新し、5年目に10年カードが取れたそうだ。


申請がとおり居住者となった後は、自分たちで住む家を探し、団体からの金銭的援助は受けずに自活生活を始めた。二人の息子さんは、養護施設に毎日通っている。娘さんは大学に行き、フランス国籍を取得し、現在パリで働いている。近々結婚する予定もあるそうだ。ご主人は外交官であったため、オランダ語、フランス語、英語、アラブ語が堪能で、現在は移民を助ける民間施設で働いている。



▲写真 ドゥジャン通り (Rue Dejean) のマルシェ風景 出典:Wikimedia Commons; Mbzt


ナジュアはと言うと、OGFA(Organisme Gestion Foyers Amitie)という、別の民間団体でシリアで受けた資格から、フランスで使える資格を発行してもらった。そしてその資格を持ち市役所に向かったのだ。


「私は絶対働きたいのです。仕事をくださいって言いに行ったの。」


その結果、保育学校の教師補助の仕事を得て、そこで4年間働いたそうだ。しかしながら体調を崩しやむなく退職。今は62歳の正式な退職年齢をまつばかりとなっている。


 


増え続ける難民


この他にも、5人の子供をふくむ大家族を抱えながら、毎月生活のために1000ユーロほどの支援を受けながら、必死にフランス語を習っていると言っていたシリア人もいた。この家族の将来は、男性の肩にかかっていると言っても間違いない。それこそどんな時間も無駄にできない覚悟で熱心に勉強している。熱心さは結果として表れて、言語を習得するスピードがとても速い。


前出のナジュアの家庭は比較的恵まれている家庭であったため、フランスでの生活もスムーズに始まったが、しかしながら、他のシリアからやってきた難民は、徒歩で目的地を目指したり、小さなボートで着の身着のままでやってきた人たちも多い。その中には、ほんとうに何もかもなくした人もおり、ある程度の支援が終わっても、うまく家庭を維持して行けない場合もある。すぐには仕事を見つけられない場合も多く、そうなると援助が必要な期間はさらに長びくことになり、コストもかかることになるのだ。できるだけ早く社会に溶け込ませる施策がとても重要になってくる。


いずれにしろ、今後も難民申請が増加していけば、どんどん予算が増え続けることは間違いないだろう。その対策を今から練っておくことは確かに必要なことだ。今回、マクロン大統領が議論を再びテーブルの上に戻したのもそういった理由も含まれているだろう。この議論の結果は次回の大統領選にも大きくかかわってくることでもある。ぜひ注目していきたいところだ。


トップ写真:フランスの風景 出典:PIXNIO


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