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水害対策、垂直避難の検討を

Japan In-depth / 2019年10月23日 14時21分

問題は避難所の立地だけではない。避難者の受け入れ能力も問題だ。今回の台風でも、幾つかの避難所が満員となった。


例えば、東京都狛江市は、12日午前8時ころに、中央公民館を自主避難場所として開設したが、雨が本格化する前から住民が集まり、昼過ぎには満員になった。避難者を収容しきれず、急遽、市役所ロビーなどを開放し、約460人を収容した。


2018年6月30日から降り始めた九州南部の豪雨では、鹿児島市内全域に警戒レベル4にあたる避難指示が出た。鹿児島市の人口は約59万人。避難所は大混乱となった。多くの避難所が手狭となり、豪雨の中、住民は別の避難所に移動を余儀なくされた。


避難指示を出した森博幸・鹿児島市長は「ぜひとも早めに避難していただき、ご自身や大切な方の命を守る行動をとって頂きますようお願い致します」とコメントしたが、現場の混乱を考えれば、この発言が妥当だったか、疑問が残る。森・鹿児島市長の立場を考えれば、その発言も理解できる。避難指示を出さずに死傷者が出れば、責任を追及されるが、避難指示を出すことで免責されるからだ。


このような対応は、今回の水害でも散見された。台風19号が通過して、約1週間後の降雨に対し、いわき市は約15万人の市民に避難勧告を出した。いわき市の人口の半分に当たる人数だ。具体的には、どういう経路で、どこに行けばいいのだろう。


水害対策は、もっときめ細かい対応が必要だ。今こそ、今回の経験を踏まえ、具体的な対策を議論すべきだ。



▲写真:宮城県丸森町五福谷川周辺(2019年10月18日) 出典:国土交通省富士砂防事務所 twitter


今回の水害では、宮城県丸森町で、家ごと家族4人が流されたようなケースも存在するが、このような方は少ない。10月19日現在、判明している81名の死者の被災場所は住宅内27人、車内21人、屋外22人、その他・不明11人だ。車内・屋外で死亡した43人の中には病院職員や公務員のように職務中に死亡した人もいるが、経緯は兎も角、一旦、豪雨の中での移動は生命の危険を伴うことがわかる。理想的には早期に避難すべきだが、避難所の収容力の問題や移動手段を考慮すると、全員を安全に避難させることは出来ない。


今回の水害で、筆者が注目したのは、27人が住宅内で死亡していたことだ。どのような状況だったのだろう。


この点を議論する上で、福島県が公開した情報が役に立つ。10月19日現在、福島県では30人の死亡が確認され、12都県の中でもっとも多い。福島県は、この30人の属性や死亡した状況を開示している。


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