水害対策、垂直避難の検討を
Japan In-depth / 2019年10月23日 14時21分
彼らを避難所に運ぶには多くの人手を要するし、搬送される高齢者にとってもストレスだ。避難を誘われても、断る人もいる。遠くの避難所でなく、自宅あるいは最寄りの二階に避難するだけで済むなら、それに越したことはない。台風が過ぎ去り、落ち着いた段階で救出すればいい。
▲写真 自衛隊による高齢者救助の様子(2019年10月13日 長野市穂保) 出典:陸上自衛隊東部方面隊 twitter
水害対策では「高さ」が大切だ。ところが、このことはあまり議論されてこなかった。
幸い、今回の水害では自治体が作成したハザードマップと、国土地理院がまとめた浸水地域は概ね一致していた。水害時にどこが、どの程度の深さで浸水するかはほぼ予想できる。
今回の水害で、もっとも浸水が深刻だったのは、水戸市常磐自動車道水戸北スマートインターチェンジ南側で7.2メートル。主な河川の最大浸水は、吉田川4.5メートル、久慈川4.0メートル、都幾川3.0メートル,千曲川4.5メートル、阿武隈川5.2メートルだ。二階建て住宅の二階の床の高さはおおよそ3メートルだから、二階に「垂直避難」しても危険な地域はある。
ただ、多くは安全なはずだ。自宅の二階が浸水しなければ、とりあえずは二階に逃げればいい。平屋なら近所の二階に移動すればいい。独力での移動が困難なら、近所の人や行政が手伝えばいい。一律に避難所に避難するより手間は少ない。
水害から高齢者の命を守るには、きめ細かい対応が必要だ。自宅への浸水予想、自宅の構造、住民の身体状況、家族構成、近所の避難先などを総合的に勘案しなければならない。個別の対応が欠かせない。
前出の根本医師は「現在21人の患者さんを在宅でフォローしています。患者の自宅の状況を把握し、台風が来る前に、どの人に病院に避難してもらうかなど、院内で議論を深めたい」と言う。筆者も協力するつもりだ。今回の水害を契機に避難対策を見直すべきである。
トップ写真:令和元年台風19号被災地での自衛隊による救助活動(2019年10月14日 宮城県大崎市)出典: 陸上自衛隊東北方面隊 twitter
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