尾を引くゴーン・ショック【2019年回顧・日産問題】
Japan In-depth / 2019年12月25日 18時54分
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【まとめ】
・今年日産自動車西川 廣人社長兼CEO、不当報酬問題を受け辞任。
・EVの量産化と3社のアライアンスを築き上げたのはゴーンの功績。
・MaaS等自動車産業の環境変化に対応出来ねばアライアンスは失速も。
ゴーン・ショックが起きたのは2018年11月19日、日産・ルノー・三菱自のアライアンスを激しく揺さぶった。そして約10ヶ月後の今年9月16日、今度は日産自動車の西川 廣人社長兼最高経営責任者(CEO)が不当報酬問題を受け、辞任した。
▲写真 日産自動車西川広人前社長兼最高経営責任者(CEO)出典:日産自動車
実は私は日産OBである。1992年まで13年間、ほぼ海外輸出部門に勤めた。その後フジテレビの記者に転じてからも、日産をずっと応援してきた。1999年に日産自動車に送り込まれ、2001年にCEOとなったカルロス・ゴーンにインタビューしたことがある。小柄な体に似合わず、日産を再建するんだという気概に満ち溢れていたのを思い出す。
▲写真 カルロス・ゴーン 出典:flickr:KUBS
当時の事を知る人も少ないだろうが、2兆円超の借金を抱え経営不振に喘いでいた日産を救ったのは、当時提携関係にあったVW(フォルクスワーゲン)でも無ければ、BIG3でもメルセデスベンツでも無い、日本では知名度がほとんどないルノーだった。ルノーだけが日産救済に手を上げたのだ。日産に選択の余地は無かった。
日産は元々「銀座通産省」などと揶揄されるほど官僚的でプライドの高い会社だった。トヨタなんかに負けない技術力があるんだ、と開発部門は信じていた節があるが、いかんせん販売力で劣っていた。その差はいかんともしがたく、追いつきたくとも追いつけそうも無いことは薄々従業員はわかっていたと思う。
はっきりしていたのは、そんな状況にもかかわらず、社内に危機感がなかったことだ。大企業には、往々にして「この会社は絶対に潰れない」と根拠の無い自信が蔓延している。誰も責任を取らず、セクショナリズムがはびこり、ただ無為に時間だけが過ぎていく。もしくは社内抗争に明け暮れたりしている会社がいかに多いことか。
いずれにしても日産はルノーに「買われた」。そしてコストカッターとしてカルロス・ゴーンが送り込まれた。それが事実だ。村山と座間の工場を閉鎖し、2万人の人員削減をした。V字回復はある意味当然だったのだ。問題はその後の経営手腕だ。
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