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私のパフォーマンス理論 vol.49 -日本の特徴-

Japan In-depth / 2019年12月28日 7時0分

私のパフォーマンス理論 vol.49 -日本の特徴-


為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役)


 


【まとめ】



日本の特徴は以下の三点 1、継続 2、マニアック 3、集団情緒的
8割方は人類としての共通点が多く、2割程度は各国、文化によって違いがある
日本人の特性が最大に活かされるのは、少人数の集団で、細かい技術や意思疎通を必要とし、競技自体に歴史があり革新的な技術が生まれにくく、漸進的な改善が効くような場面

 


よく日本人が活躍すると、日本人の特徴を活かして得た勝利、という話が出るが、実際には競技の現場では国や文化の違いよりは人類であることの共通点が大きいと感じる。日本人の最大の特徴は日本人にこだわるところだろう。他国の選手に質問すると一応それらしいことは言うが、実際にはあまり意識していないように感じていた。それだけ日本文化が濃いということなのかもしれないが。


そうは言ってももちろん文明圏や国ごと文化ごとに違いはある。そしてその違いをある程度認識しておくことが戦略を立てる上でも、自分のエラーを減らす上でもプラスになる。私の感覚では8割方は人類としての共通点が多く、2割程度は各国、文化によって違いがあるというバランスだった。


今回は身体的な特徴や組織的な特徴には言及せず、あくまで陸上競技の現場で感じた日本人個人の中にある特性を説明している。また、当たり前だが日本人の中での個人差も大きい。あくまでそんな傾向がある、という程度で読んでもらえるとありがたい。


私が現場で感じた日本の特徴は以下の三点に絞られる。


1、継続


2、マニアック


3、集団情緒的


以下、説明してみたい。


 


1、継続


日本人の最大の特徴は継続できることだと思う。継続とは我慢であり、執着でもあり、また決断ができないことでもある。日本人は続いてきた以上、当たり前のように続けるという性質が強い。だから、始めるには労力がいるが一旦始まったものは意識しなくても続いていくし、反対に止めようと思ってもかなりの力を使わないと止められない。要するに慣性の法則が働いている感じがする。


この性質が最大にプラスに働くのは、技術系競技だ。特に細かく繊細な技術を必要とする競技は、動作の繰り返し回数に従って精度が高まる傾向にあるので、このような競技は日本人の継続を好む性質がプラスになる。また、長距離系にもプラスに働く。普通の人たちが熟達していくプロセスで、継続の力が効くので、日本人が平均して能力が高いのはこの継続力があるからではないかと思っている。反対にエリートは五段飛ばしぐらいで成長していこうとするので、一般人のコーチから見ると変化しすぎているように見えて、潰されやすい。


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