依存症対策見直し必至【2020年を占う・社会】
Japan In-depth / 2020年1月3日 11時0分
▲写真 秋元司議員 出典:wikimedia commons: Yanagimotoso
現実に、ギャンブル等依存症対策基本計画の関係者会議が開催される際の内閣官房は、我々のような当事者・家族の全国連合組織の訴えを一切無視し、取り次いでくれた議員の働きかけに対しても応じず、不可解なまでに短期決着を強行突破した。その結果ギャンブル等依存症対策基本法は、見事なザル法になってしまったのである。
例えば、現状では法律で定められたギャンブルの開始年齢(パチンコは18歳以上、公営競技は20歳以上)も、厳格化するような対策がとられず、警備員や店員が「若そうな人に声をかける」といった目視での確認にとどまっている。
また、ギャンブル産業がギャンブル依存症対策の対策費を負担することは当然と思われるが、現状は税金での負担を余儀なくされている。このように基本法成立の際に期待された、最低限必要な対策でさえ基本計画に明文化されず、結局法案ができても殆ど変化なく、対策を前進させることはできなかったのである。
そもそもIRを推進する部署と、ギャンブル等依存症対策を行う部署が同じ内閣官房内の同一部署であることにも無理がある。こうしてカジノに絡む収賄事件が明るみに出たからには、IR法案はもちろんのこと、ギャンブル等依存症対策基本計画も管轄部署を厚生労働省に移管するなどして、ギャンブル産業のために便宜を図っていないか?再検証し計画自体を見直す必要がある。
2020年度は、ギャンブル等依存症対策に公平性・透明性を求められる年になるであろう。
■ 薬物依存症
報道のあり方や支援のあり方が問われる年に
2019年は、ピエール瀧さんのコカイン使用による逮捕を皮切りに、著名人の違法薬物事件が相次いだ。3月に起きたピエール瀧さんの事件の際には、特にワイドショーが徹底的に叩きのめし、更には作品の公開停止だ、自粛だ、配信停止だと様々な私的制裁措置を与えた。するとこれに嫌気がさしたファンや私たちのような依存症の支援者達が「やりすぎ!」と声を上げ、ピエール瀧さんの事件は「応援団VSワイドショー」の様相を呈して行った。
▲写真 薬物イメージ 出典:Pixabay: Anestiev
一方、この事件を契機に、先駆的なネットメディアでは薬物事件を「犯罪」の側面より「病気」の側面で捉え、「刑罰よりも治療を!」という依存症支援者の声を積極的に発信してくれるようになった。そして11月に田代まさしさんと沢尻エリカさんの事件が立て続けに起こった際には、明らかに報道の内容が変わっていった。
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