ゴーン逃亡劇、日本への挑戦
Japan In-depth / 2020年1月4日 10時46分
Ulala(ライター・ブロガー)
「フランス Ulala の視点」
【まとめ】
・ゴーン被告、なぜ仏に入国しなかったのかとの疑問広がる。キャロル夫人の関与も。
・レバノンの法律は自国民を外国に引き渡すことを禁ず。ゴーン被告の日本送還は無理。
・1月8日には、ゴーン被告の逃亡後第一声が流される予定。
フランスでは去年より交通機関のストライキが続いているが、その期間はなんと1月2日の時点で29日間である。フランス史上最長を記録したのだ。ここまで長期のストライキに耐えられるのは、インターネットの発達や、様々なシステム作りが行われてきた結果であり、本来ならそういったストライキの様子などを伝える予定であったが、しかしながらストライキと並行して、現在、それよりもさらに大きなニュースがフランスをにぎわしている。そう、あの日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告(65)の日本からの逃亡のニュースである。
12月31日、会社法違反(特別背任)などで起訴された事件で、保釈中であり、出国が禁止されているゴーン被告であったが、なんと日本から中東レバノンに逃亡していたのだ。誰もが、年末の忙しい日々を過ごしているなか、突然、アメリカの広報担当者を通じてゴーン被告の声明文が発表された。
「私は今、レバノンにいる。もはや、有罪が予想される日本の偏った司法制度の下でのとらわれの身ではなくなった。そこでは差別がまん延し人権が侵害され、日本が順守すべき国際法や条約が全くもって軽んじられていた」
「私は裁判から逃れたのではなく、不公平さと政治的な迫害から解き放たれた。ようやくメディアと自由にやりとりできる身となり、来週から始めるつもりだ」
しかも、この声明文からも読み取れるように、国外ではゴーン被告は厳しい環境で監視されていると報じられてきたため、そこから脱出できたことにもフランスで驚かれた。しかし実際は、キャロル夫人をのぞく家族をよんだり、レストランに出かけたり、旅行にもいけるかなり自由な環境であったが、その事実は、多くの人が耳にするような夜のニュースなどでは紹介されてないため、フランスではまだまだ実際の環境を知らない人もいまだに多いだろう。
また脱出方法も話題を呼んだ。年末のパーティーに呼んだオーケストラの楽器ケースに隠れてプライベートジェットに乗ったというのだ。フランスのSNSでは、札束でできた魔法のジュータンに乗って飛び立つゴーン被告の風刺絵や、楽器のケースに入っている姿、アメリカの人気のドラマであり、脱獄を計画する物語である「プリゾンブレイク」をもじり、「プリゾン日本」とかかれたコラージュも出現した。
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