防衛予算過少に見せる安倍政権
Japan In-depth / 2020年1月8日 13時5分
清谷信一(軍事ジャーナリスト)
【まとめ】
・安倍政権、米軍関連費用など除外、防衛予算を過小に見せ世論誘導。
・東日本大震災以降、次年度予算と当年補正予算を一体化している。
・役所の言うまま報道するメディアにも責任。
安倍政権は防衛予算を過小に見せて、世論誘導をしている。新聞、テレビなどの記者クラブメディアもその共犯である。
毎年8月末に来年度防衛予算の概算要求が出される。その後財務省と折衝が行われこの段階で総額の調整が行われて12月に政府予算案となる。大抵この過程では予算額が削られることが多い。そして政府案が国会で審議され、来年度予算が決定される。
ところが昨年度の防衛省概算要求からは米軍関連費用などが除外されている。昨年度の防衛省概算要求は5.0070兆円で、事項要求は約2200億円であった。
来年度の防衛省概算要求は5.3222兆円であり、新聞などは「5.3兆円超えで過去最大」だと騒いだが、これまた「事項要求」として約2505億円以上の米軍関連費用が除外されていた。概算要求金額と事項要求の金額をあわせれば、その金額は5.5727兆円、すなわち実際の概算要求は約5.6兆円弱である。
これを「5.3兆円」と報じるのは、まるで安倍政権と記者クラブメディアが合作で世論操作を行っているかのようだ。
それだけではない。東日本大震災以降、第二次安倍政権では次年度の予算と当年の補正予算が一体化している。
本来補正予算はその年度の編成当時に想定しなかった支出、例えば大規模災害の派遣や災害によって生じた、隊員の手当などの人件費や燃料費、また航空機や基地などが被災してその代用が必要となった場合、また大幅な為替変動によって燃料や輸入装備などが高騰した場合などを手当するものだ。
財政法第29条では以下の場合に補正予算を編成できると規定している。
1.法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出(当該年度において国庫内の移換えにとどまるものを含む。)又は債務の負担を行うため必要な予算の追加を行う場合
2.予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合
だが防衛省の補正予算では通常予算で調達すべき装甲車や航空機などの「お買い物」予算として利用している。これは本来の補正予算のあり方から逸脱している。因みに本年度の補正予算は、以下の通りとなっている。
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