国連と逆行 日本の薬物報道
Japan In-depth / 2020年2月23日 7時0分
薬物の使用や所持を医学的・科学的な目的以外の目的で個人的に犯罪化することは、薬物使用者の病気のリスクを高め、HIVの予防や治療に悪影響を及ぼす可能性がある。それは、汚名と差別、警察による嫌がらせ、恣意的逮捕を増やす可能性がある
治療へのアクセスを容易にする上での主な障害は、医学的及び科学的な目的以外の目的での個人的な薬物の使用及び所持の犯罪化であり、国際的な薬物統制条約によって認められている柔軟性の範囲内 で、個人的な薬物の使用及び所持に対する刑事罰を科さないことを含め、健康に対する権利の障害を除去することを考慮すべきであると勧告した
12 の国連機関が、薬物使用と個人使用のための 薬物所持を犯罪とする法律の見直しと廃止を共同で 勧告した
とある。
いかがだろうか。日本の芸能人の薬物事犯に対する報道ばかりを見なれた方にとっては、驚くべき内容ではないだろうか。
なんと昨年3月には「国連システム調整タスクチーム」によって、「薬物使用者の治療へのアクセスを阻害するものは、犯罪化である。」と明記されていたのである。そしてまさにこれは現代日本で起きている薬物問題そのものである。
犯罪化されているがゆえに、薬物使用に苦しむ当事者と家族は「絶対にバレてはならない。」とばかりにひた隠しにし、相談電話ひとつかけることもできないのである。その上、マスコミが「これでもか!」とばかりに叩きのめしていたのでは、ますます震えあがらざるを得ない。さらには、こうしたメディアの過熱報道が一般庶民を洗脳し、薬物使用者はまるで極悪人であるかのような印象を植え付け、弊害を生んでいる。
これは薬物依存症者を持つ家族会の方に聞いた話だが、うっかり自分の家に違法薬物の問題があるなどと口を滑らしてしまったがために、職を失ってしまったご家族が何人もいるのだそうである。信じられないことに問題を抱えた当事者ではなく、家族まで社会的な居場所と経済力を奪われているのである。メディアは自分たちが作りだすスティグマで、罪もない人を追いつめている現実を真摯に反省して欲しい。
◆当事者のエンパワメント
そもそも清原さんのような薬物依存からの回復者は、ご自身の体験や回復プロセスを語ることで、もっとも効果的な薬物予防を行うことができる。国連の報告書にあるようにそれこそ使用者のエンパワメントである。
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