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遺伝子検査行う体制作り急げ

Japan In-depth / 2020年2月25日 15時36分

イタリアでもクルーズ船の乗客が新型コロナウイルスに感染したが、検疫は12時間程度で打ち切り、乗員と乗客を解放している。


その後、イタリアでは新型コロナウイルスの感染が拡大し、6人が死亡した。流行の中心は内陸都市のミラノだ。クルーズ船の乗客との関係は指摘されていない。無駄な人権侵害をせずに済んだという見方も可能だ。


乗員・乗客の視点に立てば、感染研が提示したデータの解釈は変わってくる。検疫開始直後の蔓延は論外だが、個室に隔離しても一定数の感染が続き、さらに乗員の感染数は右肩上がりだった。


この事実から言えるのは、どんな方法をしても、船内に乗員や乗客を留める限り、感染は防げないということだ。イタリアのやり方が合理的だったことになる。


では、我々はどうすればいいだろうか。私はデータに基づき、合理的に考えることだと思う。


 そのためには正確に診断することが欠かせない。それには、どこの病院でも、医師が必要と判断すれば、遺伝子検査を行う体制づくりが必須だ。


政府に求められるのは、強権を発動した指示ではない。現場への十分な資源を供給し、使いやすいように規制を緩和することだ。


日本の医療は厚労省の完全な統制下にある。医師数も医療の価格も中央政府が一律に決めている。私が知る限り、このような先進国は日本だけだ。これが利権を生み、日本の医療を弱体化している。


新型コロナウイルス対策にも影響が出ている。


新型コロナウイルスの遺伝子検査の価格は一万円くらいになるだろう。自費でも受けたい患者は多くいる。ところが、自費診療と保険診療を併用することは混合診療として、厚労省が禁止しているため、厚労省が承認し、保険適応としなければ、医療機関は利用できない。


厚労省はクリニックでも診断できる簡易キットの開発にご執心で、感染研に予算措置した。確かに簡易検査はあれば便利だが、開発されるまで待つなど、悠長なことは言っていられない。24日に開催された専門家会議では、「ここ1-2週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際」と見解を述べているが、やっていることは正反対だ。


遺伝子検査には数時間はかかるが、遅くとも翌日には結果が分かる。保険適応となれば、多くの民間検査会社が参入し、サービスは向上する。我々、臨床医は検査をオーダーし、検体を用意するだけで、営業担当者が来て、検体を回収し、結果を教えてくれる。多忙な外来診療の合間に保健所に電話をして、検査の必要性を説明し、申し込み用紙に記入する必要はなくなる。どちらの方が患者のためになるかはいうまでもない。


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