米はコロナウイルスに勝てるか
Japan In-depth / 2020年2月29日 13時32分
岩田太郎(在米ジャーナリスト)
「岩田太郎のアメリカどんつき通信」
【まとめ】
・各国の現状を受け、米国も急速にコロナ対策を進めている。
・日韓から米国への旅行は制限されておらず、「ザル」状態。
・決してコロナウイルスを人災にしてはいけない。
新型コロナウイルスの感染者数が現地時間の2月27日現在で60名と未だ2桁台に収まっている米国。しかし、カリフォルニア州サンフランシスコ市に近いソラノ郡では米国内における人から人への最初の感染例と思われる女性患者のケースも確認され、米国がある程度の「感染地域」となることは時間の問題となってきた。
世界的流行の兆しでパニック売りが浴びせられ続ける米株式市場では2月27日のダウ平均の幅が史上最高の1190ドルに達するなど調整局面に突入しており、ウイルスの感染よりも早く恐怖の感染が進んでいる。
広範囲に及ぶパンデミックが米国外で急速に拡大する中、米国はコロナウイルスとの戦いに勝てるのだろうか。現在、米連邦政府や地方自治体、米医療機関で採られている対策を分析し、その成功の可否を占う。
「もし」ではなく「いつ」を前提にした対策
まず、米国では中国や韓国のように日常の生活や経済活動に支障が出る最悪の事態を想定した、予防的な対応がここ数日で急速に進められている。
まず、ホワイトハウスは米議会に対してワクチン開発の加速、政府機関のパンデミック対応準備、医療機器や備品の調達などを中心とする25億ドル(約2700億円)規模のコロナウイルス緊急対策予算の承認を要請した。トランプ大統領はすでに、過去2週間内に中国に滞在した米国人の家族を持たない外国人の入国を拒絶する命令を1月31日に発令しているが、一歩進んで従来の水際政策が機能しなくなる事態を見越し、マイク・ペンス副大統領を司令塔とした先手を打とうとしている。
連邦政府だけではない。中国人・韓国人移民が多い90万人都市のサンフランシスコは、感染例が1件も報告されていないにもかかわらず、新型ウイルスで非常事態宣言を行った。ロンドン・ブリード市長の命令により、市当局が職員を通常業務から緊急業務に再配置して、対応を迅速化させる狙いがある。また、住民の警戒感を高めて事前対策を徹底させ、実際に感染者が出た場合には即座に対応できるように準備する時間を稼ぐ狙いもありそうだ。
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