令和の朝日新聞大研究 5 自分が嫌いな相手はみな悪魔
Japan In-depth / 2020年3月19日 11時1分
1931年の満州事変を契機に日本からの「満州開拓団」が中国大陸に渡った。長野県からも「満州愛国信濃村建設委員」が選ばれ、県知事が委員長になったという。
そのうえで駒野記者は以下のように書いていた。
《信濃村は頓挫する。(中略)旧ソ連が突如参戦してソ満国境を越えてから未曾有の悲劇が始まる。開拓団の男は根こそぎ召集され、残った女、子ども、老人らは逃避行を迫られる。ソ連軍などの襲撃、前途を諦めての自決、伝染病などで長野県に生還できたのは約1万7千人、約1万6千人が亡くなるなど未帰還だった》
という記述の後にすぐ以下の文章が続く。
《首相や知事という、戦を始めたり、外地に人を送り込んだりした権力者に連なる人たちが「私人」を盾に、政治利用なり広告塔まがいのことをするのはあまりに歴史を甘く見ていないか》
だから2019年のいま、県知事が地元の護国神社の信徒代表になってはいけないと主張するのだ。満州でのソ連軍の暴行による長野県民の悲劇があたかも長野県知事の責任だったかのような「悪魔化」の牽強付会である。
朝日新聞の令和時代の悪魔化手法は山のような実例がある。
2019年6月4日は中国の天安門事件の30周年記念の日だった。中国人民解放軍が多数の中国人民を殺戮したあの事件は全世界の非難を受けた。
アメリカの首都ワシントンでも中国共産党政権に対するその非難は頻繁に表明されてきた。30周年の記念日にはとくにトランプ政権も再度、中国への非難声明を出して、事件の真相を公表することを改めて求めた。
日本の各メディアでも天安門事件から30年の回顧報道が盛んだった。だが欧米諸国や香港、台湾のメディアにくらべると、その非難の度合いはずっと低かった。日本の政府も天安門事件に関していまの中国政府に正面から抗議をぶつけるようなことはしていない。日本こそ人権意識が希薄なのだといわれても反論できないだろう。
そんな日本のメディアのなかでびっくりするような記述があった。朝日新聞6月4日夕刊一面の「素粒子」というコラムだった。
以下のような記述だった。
《歴史は消せない。忘れたい過去にも向き合ってこそ、国家の歩みは正統性をもつ。中国・天安門事件から30年。
◎
日本も胸を張れぬ。首相の面談記録を官邸が作っていない。検証不能、歴史と未来に責任を持たぬ非民主的国家。》
さて以上の文章をふつうに読めば、中国も日本も同じ非民主的国家だと非難し、揶揄していることは明白である。これも朝日新聞の安倍政権の悪魔化レトリックだった。
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