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3.11の戦訓活かせぬ防衛省/自衛隊

Japan In-depth / 2020年3月30日 7時0分

 


■ 無人機先進国、今は昔


かつて我が国は無人機の先進国だったが、いまはその影がない。自衛隊も無人機の導入、運用では途上国以下のレベルである。これが厳然たる事実である。


これは筆者がスクープしたことだが、陸自が運用していた数少ない無人機のFFOS(Flying Forward Observation System:遠隔操縦観測システム)、FFRS(Flying Forward Reconnaissance System:新無人偵察機システム)は東日本大震災において全く使用されなかった。


これは後に防衛省が国会答弁でも信頼性が低かったので二次災害を恐れて使用しなったと認めている。因みに防衛省のホームページに掲載さいれている事業評価でFFRSは「大規模災害とNBC(Nuclear/核兵器、Biological/生物兵器、Chemical/化学兵器)環境における偵察に必要であり、開発は大成功だった」と自画自賛していた。


それでも国会答弁ではFFRSは導入から1年も経っていないからと言い訳をしていたが、FFOSは既に長く運用されていた。またFFRSはその後の熊本の震災などの災害でも使用されていない。つまりは自衛隊が開発した国産の無人機は信頼性が低すぎて実用に耐えなかったということだ。ところが防衛省はそのことをきちんと総括して公表せずに、こっそりとFFOSとFFRSの調達を停止している。開発と調達に数百億円もかけた装備が単なる税金の無駄使いに終わり、その報告も納税者にしていないのだ。


これらが使いものにならなかったのでことが露呈したので、代わりの無人機が導入されることになって急遽、ボーイング社のスキャンイーグルとフジインバック社のB型という固定翼のUAVのサンプルが調達された。だがスキャンイーグルが選定されて、部隊用の予算がついたのが来年度予算からで、戦力化は更に先になるだろう。つまり震災から10年経って、震災の教訓を活かして代用手段を獲得する努力をしてこなかったこの間に大規模な災害がおこれば同じ轍を踏むことになったはずだ。防衛省、自衛隊には当事者意識と能力が欠如している。



▲写真 ボーイング社 スキャンイーグル 出典:U.S. Air Force


 


■ お粗末な偵察機


偵察機も大概だ。陸自の偵察ヘリのOH-1はリアルタイムで画像情報を送れず、しかもローターブレードのトラブルで2年以上、その後はエンジンの問題で、3年以上全機地上待機で、近年やっとエンジン改修に目処がたったが、防衛装備庁によれば予算上の制限で全機の改修が終わるのは9年ほど先になる。


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