1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

新型ウイルス感染拡大止まず

Japan In-depth / 2020年3月30日 21時38分

特記すべきは、318人(51%)が無症状だったことだ。勿論、調査時点では潜伏期で、その後、発症した人もいる。京都大学の研究者たちは数学的なモデルを用いて、ずっと無症状の人の割合を18%と推定している。正確なことは、国立感染症研究所の最終報告を待たねばならないが、無症状の感染者が大勢いることがわかる。さらに、このような人たちも、発症者と同様にウイルスを排出し、周囲に伝染させることがわかっている。


もう一つ注目すべきは、死亡率が低いことだ。クルーズ船の乗客のうち合計8人が死亡しており、致死率は1.3%だ。


このうち6名は年齢がわかっている。4名が80代、2人が70代だ。年齢不詳の2人が70代以上だとしても、70代以上の致死率は2.7%だ。前述したように中国では70代の致死率は8%、80代は15%だ。遙かに低い。


死亡率が低いのは、アジアでは共通の傾向だ。湖北省以外の中国の致死率が0.8%であることは前述の通りだ。韓国は9,478人が感染し、死亡者は144人だ。致死率は1.5%である。台湾は267人が感染し、2人が亡くなった。致死率は0.7%だ。西欧とは全く違う。


話を日本に戻そう。では、日本の致死率3.3%とクルーズ船内での致死率に乖離があるのはどうしてだろう。それは、日本では新型コロナウイルス感染の診断に必須である遺伝子検査(PCR検査)を抑制してきたからだ。


3月19日現在の日本のPCR実施数は1万4,991件。人口100万人あたり118件で、イタリア3,499件、ドイツ2,023件、英国960件、フランス559件、米国314件に遠く及ばない。


日本のPCR検査体制に問題があったため、日本政府はPCR検査の肺炎の疑いがある重症者に優先的に行っていたからだ。だからこそ、日本は感染者が少なく、感染者に占める致死率が高い。実態を反映するのはクルーズ船のデータだろう。



▲図3


これは現在、日本で診断されている感染者数が氷山の一角であることを意味する。図3は新型コロナウイルスの感染者と致死率の関係を示したものだ。概して、患者数が多い国ほど、致死率が低いことがわかる。これは、PCR検査を数多くやっている国で軽症者を診断しているからだろう。


感染爆発を防ぐには、正確な診断が欠かせない。3月16日、テドロスWHO事務局長は記者会見で「疑わしいすべてのケースを検査すること。それがWHOのメッセージだ」と発言している。


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください