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新型ウイルス感染拡大止まず

Japan In-depth / 2020年3月30日 21時38分


▲写真 テドロスWHO事務局長 出典:Flickr; ITU Pictures


現在、感染者が急増し社会不安が生じている米国も検査数を増やせば、致死率は低下する可能性が高い。


例外はイタリア、スペイン、フランス、そして英国などの西欧諸国、および湖北省だ。罹患率も致死率も高い(図3)。湖北省の問題点は前述の通りだ。なぜ、西欧で致死率が上昇するのだろうか。他国との乖離はなぜ生じるのだろうか、その原因は明らかではない。


3月4日、北京大学の研究者たちは、新型コロナウイルスは毒性が異なる2種類が存在すると報告した。湖北省で流行したのは毒性が強いものらしい。西欧に関する調査結果は明らかではなく、まだ結論は出ていない。


また、結核予防のためのBCGワクチンの接種が、新型コロナウイルスの免疫獲得に影響しているという報告もある。我々の研究所でも両者の関係を調べてみた。図3に2018年に90%以上の国民がBCG接種を受けていた国を区別して示してみた。感染率とは相関がありそうだ。まだ、仮説のレベルを出ないが、世界各地で臨床研究が進んでいる。豪マードック・チルドレンズ研究所は4,000人の医療従事者を対象に臨床研究を準備している。


勿論、アジア人と欧米人のゲノムの差が影響している可能性も高い。こちらについても研究が進んでいる。ヒトの細胞表面に発現するアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)は、新型コロナウイルスが気道に進入する際の目印となる蛋白質で、これに変異がある場合、感染しやすくなるかもしれない。


英国のUKバイオバンクは、新型コロナウイルス感染に関するデータを収集することを決定したし、アイスランドのデコード・ジェネティクス社や、パーソナルゲノムプロジェクトを率いるジョージ・チャーチ・ハーバード大学教授らも独自に研究を立ち上げることを決めた。この問題についての情報は急速に集まるはずだ。


ただ、いずれにせよ、アジアと西欧の新型コロナウイルスを一律に論じるべきではない。西欧諸国が感染拡大を怖れて、都市封鎖などを強行するのは、現時点では合理的かもしれないが、十分な議論をすることなしに、日本が追随してはならない。


それは、ロックダウンは大きな問題点を抱えるからだ。都市封鎖により武漢での流行が3か月程度に収束したように、ロックダウンは強力な感染対策だ。


ただ、ロックダウンでは、集団免疫が獲得されないため、ワクチンが開発されない限り、一時的に流行が抑制されても、外部からの再流入に怯えねばならない。まさに今の中国の状態だ。


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