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真の脅威はインフォデミック(下) ウイルスより人間が怖い 2

Japan In-depth / 2020年4月1日 18時0分

真の脅威はインフォデミック(下) ウイルスより人間が怖い 2


林信吾(作家・ジャーナリスト)


林信吾の「西方見聞録」


【まとめ】


・「皆がネットで書いている」と信じる人は「ビリギャル」笑えず。


・致死率低い「生物兵器」を作る暇人はいない。


・政府筋情報は鵜呑みせず。パンデミックとインフォデミックは人災。


 


先日たまたま『ビリギャル』という映画を観たのだが、実に面白かった。


原作がベストセラーになったので、ご存じの向きも少なくないと思うが、偏差値37だかの学年ビリの女子高生が、学校が見放したような生徒を見捨てない、というポリシーを掲げる塾の先生と二人三脚で勉強し、慶応義塾大学の入試を突破するまでの物語だ。


その、勉強を始めたばかりの時に、有村架純演じるヒロイン(役名・さやか)が、英文読解の問題で、まずもって質問の意味が分からない、と言い出す。


「サンタクロースは本当にいると思うのか、ってことでしょ?」


これを聞いた伊藤淳史演じる塾の先生が、怪訝そうに問い返す。


「君は、サンタクロースが本当にいると思ってるのか」


「だってTVに出てるじゃん」


これを聞いた先生、一瞬、毒気を抜かれた表情になるのだが、すぐに昭和世代には懐かしい<スペシウム光線>のポーズをとりつつ、こう切り返す。


「ウルトラマンも、TVに出てるよね」


次の瞬間、さやか嬢の嬌声が教室に響き渡る。


「え、うっそー、まさかのそっち系?!」


私も一瞬、状況を理解することができず、一呼吸おいてから爆笑した。


……唐突になにを言い出すのか、と思われたかも知れないが、実はこれ、林信吾流


「罪なき者、石もてこの女を打て」


という話なのである。


前回、インフォデミックについて紹介させていただいたが、


「みんながネットで書いてることだから、本当だ」


と簡単に信じ込んでしまう人たちには、この女の子を嘲笑する資格はない、と私は思う。


NHKの特集番組でも取り上げていたが、今年2月に


「新型コロナウイルスは生物兵器である」


という話が広まり、ネットがたちまち沸騰した。ここで「炎上」と書かないのは、そんなバカな、という批判的な声が存外少なく、結構みんな真に受けていたように思われるからである。


同じ頃、感染による死者数などのデータが公表されたが、武漢においては、


「65歳以上の人が感染した場合の致死率は70パーセント以上」


「心臓や呼吸器系に持病があった人が感染した場合、致死率は85パーセント」


であるものの、世界レベルでは致死率2パーセント台にとどまっている上に、若年層は感染率・致死率ともにかなり低いことが明らかとなった。


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