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「軽装甲機動車」後継選定の面妖

Japan In-depth / 2020年4月8日 11時0分

機能、性能、コストに関してはNATO規格であるSTANAGのレベルによる防御力を明記するとあるが、装備庁は防御性能に関しては車体前面・上面・側面・後面において、人員・装備の防護及び、車輛の機動機能の発揮に係る部位については耐弾性を有するとともに、車体底部については耐爆性を有すること、と有るだけで具体的な防御レベルの要求がない。


またNBC防御システム、乗員用クーラーなどは要求されておらず、また維持費や廃棄費用の提出も求められていない。


仕様を見る限りかなり抽象的で、何のために、どのような目的に使用するのかも不明である。APCなのか、ウエポンキャリアーなのか、どのような派生型が必要かも示されていない。現在進められている8輪装甲車プログラム「共通戦術装甲車系列」及び、「次期装輪装甲車系列」はともにファミリー化を前提としており、必要な派生型が明示されているが、これとは対象的だ。


要求が曖昧模糊としており、メーカーも何を提案していいか困るだろう。乗員にしても4名以上では何名が必要なのかわからない。また防御レベルも分からないので、例えば4名でレベル4の装甲がいいのか、8名でレベル1の装甲の装甲車を提案していいのかわからない。


また防御力に関しても必要なのは装甲だけではない。被害を減らすためにスポールライナーの有無や消火システムも必須だがこれに関する記述もない。


さらに武装に関しても何の記述もない。非武装なのか、武装を搭載するのかもわからない。例えばルーフに有人の銃座を設けるのか、RWS(リモート・ウエポン・ステーション)を採用するのか、対戦車ミサイルなどその他の武装を搭載するかも分からない。


またCBRN(化学・生物・核兵器・放射能)防御もエアコンも必要とされてはいない。東京でも最高気温35度を超える日が多いなか、鉄の塊の装甲車にエアコンを入れないのは時代に即していない。また仮にCBRNシステムをいれてもエアコンがなければ夏場は使い物にならない。


この件に関して筆者は陸幕と装備庁に取材したが、担当者も要求を絞り込めていないことは認めている。だがそれは税金を使う立場としてあまりにも当事者意識が欠けている。


怪しいことは他にもある。国内外の候補を調査するとしているが、外国製品に関しては「アメリカ、オーストラリア、トルコ、スイス、イスラエルの調査を必須としている。その他は任意とする。またこの際1カ国以上(イスラエルは必須)を訪問すること」


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