仏、コロナで拡がる教育格差
Japan In-depth / 2020年4月21日 23時0分
しかし、そのオンライン学習を続けていくうちに、生徒が宿題を提出せず、連絡も取れなくなるケースが出始めた。外出禁止が始まった日から2週間後の3月31日にジャン=ミシェル・ブランケール国民教育大臣が伝えたことによると、多大なる教師の努力によりスムーズにオンライン学習を受けている生徒もいるが、5%〜8%の生徒が教育の場から離れていっているというのだ。
この数字だけ見れば、そこまで大きな数にも見えないが、実際は、地域や学校により割合の偏りが存在しており、特に社会・経済的に困難を抱える住民が多く住んでいる地域では大きな問題となっていた。
▲写真 Jean-Michel Blanquer Ministre de l'Éducation nationale et de la Jeunesse 出典:flickr by Govern d'Andorra
セーヌ=サン=ドニ県のバニョレ市の教師はこう証言する。「私のクラスは23人中、7人からしか返事はありません。」。ヴァルドワーズ県のサルセル市の教師もこう語る。「150人いる生徒のうち、現在継続して宿題をしているのは20人だけです。」
社会・経済的に困難を抱える住民が多く住んでいる地域では、9%以上の生徒がオンライン学習をする電子機器からは遠い存在になっていると、パリ近郊の教育強化指定校になっている中学校の教師エマニュエルはそう語る。さらに、34%の生徒がもっているのはスマートフォンのみ。中には、家族で一台のみの場合もある。また、11%はコンピューターが家庭にあるが、大抵、親がテレワークで使用している。21%は、オンライン学習をしている複数の兄弟と一つのコンピューターを共有しなければいけない状況であるという。
そんな状況であるため、教師は多様な努力を続けなければいけない。感染の危険があるにもかかわらず、宿題を印刷して、親、または協力団体に手渡しをするようにもした。しかし、たとえ宿題が子供の手に渡っても、狭いアパートに何人も住んでいるなどの理由で、なかなか集中して勉強ができるわけでもない。
また、フランス語が話せない親も多く、子供だけでは宿題をやり遂げられないケースも多い。いずれにせよ、家で子供が勉強すること自体、比較的裕福な地域でも働いているなどが理由で同様に多くの親が苦労をしている。自宅でテレワークをしていたとしたら、普段の仕事に子供の勉強を見る教師の仕事がプラスされるのだ。そう考えると、やはりすべての家庭がオンライン学習で十分に勉強ができたわけではないだろう。
この記事に関連するニュース
-
平仮名という優れたシステムや社会格差の小ささ――日本の教育が良い結果を出す理由
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月20日 18時13分
-
世界で広がる学校でスマホを禁止する動き スマホを使わない時間を子供が持つことに意味がある?
ASCII.jp / 2024年6月1日 12時0分
-
高校の「情報I」の内容をPBL型にした授業「インフォメーションスタディ」クラスを新設。どんな授業か覗いてみよう!
PR TIMES / 2024年5月29日 12時45分
-
一般社団法人Fora、一般社団法人まなびぱれっと と教員研修で連携を開始
PR TIMES / 2024年5月28日 12時0分
-
【開催レポート】リザプロ×ドラゴン桜2監修西岡壱誠 共同プログラム「出版・PRマーケティング実践講座」開催
PR TIMES / 2024年5月27日 23時40分
ランキング
-
1「どうなってんだ、この国」 怒号飛び交う現場 財務省の車が歩行者はね男性死亡 現行犯逮捕された男は容疑認める【news23】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年6月21日 0時47分
-
2都知事選、掲示板に同一ポスター 政治団体影響か、「愚弄」批判も
共同通信 / 2024年6月21日 12時16分
-
3【速報】「弟の無念を晴らして」重度脳障がいの男性が死亡前日に自宅売却…契約書が偽造された疑い 遺族が不動産会社の社長を刑事告発
MBSニュース / 2024年6月21日 11時25分
-
4自民党代議士会で公然と岸田首相を批判、茂木派の津島淳氏…「この場に来てあいさつすべき」
読売新聞 / 2024年6月21日 8時43分
-
5首相、今秋に経済対策策定=電気・ガス補助は8月再開
時事通信 / 2024年6月21日 20時46分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください