ヤクザの二代目は美形ぞろい 家にいるなら邦画を見よう3
Japan In-depth / 2020年4月27日 18時59分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
林信吾の「西方見聞録」
【まとめ】
・日本のヤクザ社会もヤクザ映画も戦後から現代まで変質した。
・1960年代ヤクザ映画は反体制的な学生や経済成長に取り残された観客が中心。
・圧倒的な暴力というのは、「軍事の普遍性」。
ヤクザ映画も結構見たが、ああいう世界に入りたいとか、ヤクザに対するあこがれなどは抱いたことがない。東宝の特撮シリーズ(主に怪獣映画)もほとんど見たが、生まれ変わったらゴジラになりたい、などと思ったことはない。それと同じことである。毎度、我ながら論理的だ(どこがだ?笑)。
ただ、昭和も終わろうとする時期、別の言い方をすれば世の中がバブルへと向かっていた時代、有名な広域暴力団の幹部が、雑誌のインタビューに答える形で、
「近頃、若い者の教育にと、昔の仁侠映画を見せている」
などと語っていたことを、今でも覚えている。
昔の仁侠映画というのは、具体的には1960年代から70年代にかけて、高倉健、菅原文太、鶴田浩二、松方弘樹、梅宮辰夫(いずれも故人。合掌)といったスターたちが、失うものは何もないといったアウトローの生きざまを演じていた、一連の作品群を指すのだろう。
戦後日本のヤクザ社会と言うのは、いわゆる焼け跡の混乱期を経て、1960年代以降、高度経済成長と歩調を合わせるようにして勢力を拡大させていった。しかし、その裏で進行したのは、巨大組織の台頭による寡占化と系列化であり、シノギ(資金活動)の変質だったのである。「縄張り」とは賭場を開帳する権利のことだといった考え方は古くなり、様々な事業の利権、果ては公共事業に食い込むという形で、億単位の金を動かすヤクザが増えてきたわけだ。
その後、中国マフィアの問題がやかましくなってきた20世紀末、やはり有名組織の幹部が、TVでこんなことを語っていた。
「最近の日本のヤクザは、億のカネでもかからない限り、命のやり取りまでしようとは考えない。その点、向こう(中国の裏社会)には100万円で殺しを引き受けるような連中がごまんといる。勝負にならん」
つまり(話の順序としては前後してしまったが)、バブルを背景にヤクザ社会にさえ「金持ち喧嘩せず」という気風が蔓延し、そのことを憂えた上層部が、
「恨みはございませんが、渡世の義理……死んでもらいます!」
などと言ってドスを抜く仁侠映画を、若い者向けの「教材」とするに至ったものらしい。
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