ヤクザの二代目は美形ぞろい 家にいるなら邦画を見よう3
Japan In-depth / 2020年4月27日 18時59分
一部に誤解している向きがあるようだが、この作品が当たったので「二代目ヒロインもの」が制作されるようになったのではなく、順序としては逆だ。また、こちらの原作は家田壯子さんのノンフィクションで、どちらかと言えばヤクザの亭主に泣かされる(生活費はよこさない、浮気はする、果ては懲役!)が、それでも別れられないという女性たちの生きざまを描いたものだが、映画では「姐さん」として服役中の亭主に代わって組織を守り、最後は仇討ちの話となっている。
いずれにせよ、この作品が当たってシリーズ化されたことで、
「ヤクザ映画に女性観客を動員することに成功した」
と評された。1960年代のヤクザ映画と言うと、反体制的、もしくは反体制を気取っている学生や、高度経済成長に取り残されていった、恵まれない層が観客の中心だったのである。
また、映画産業そのものが斜陽化したが、代わってビデオ(今ではDVD)の販売やレンタルを当て込んで、その分だけ安い製作費で作られた「Vシネマ」が現れたが、こちらは「古き良き仁侠映画」のコンセプトで、なかなか頑張っている。
時世時節がどのように変遷しようとも、地道に働いている人が、カネの力や権威を笠に着る手合いによって屈辱を受ける例など、後を絶たない。そうした人たちにとって、最終的には自爆となろうが、圧倒的な暴力で、そうした権威(裏社会では、巨大組織の代紋は権威だ)を叩き伏せる映画は、カタルシスの役割を果たすに違いない。もともとカタルシスというのは、ギリシャ悲劇を評する言葉から来ていて「精神の浄化」という意味だ。
圧倒的な暴力というのは、少しだけ専門的に言うと「軍事の普遍性」で、早い話が非力な女子高生でも、サブマシンガンを持ち出したなら、暴力団など手も足も出ない。このカタルシスだけは、昭和の「死んでもらいます!」から平成の「カ・イ・カ・ン」まで連綿と受け継がれてきたのだと、私は思う。
林信吾ほどの教養人がヤクザ映画など見ていると知って、違和感を覚えた読者が2人か3人か4人くらいはおられるかも知れないが、これで説明になったであろうか。誰だってストレスを抱えて生きているのだ。
最近見た中では、前述のVシネマで『二代目はニューハーフ』という作品が、実に面白かった。端的に言うと、
「バカバカしいけど面白い」
これに尽きる。こうした作品に対して「バカバカしいけど面白い」というのは、ある意味、最高の誉め言葉ではないだろうか。
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