仏、「ウイルスとの共存」へ
Japan In-depth / 2020年5月2日 19時0分
Ulala(ライター・ブロガー)
「フランス Ulala の視点」
【まとめ】
・仏政府は5月11日に外出禁止解除、経済再開の目標表明。
・「経済崩壊」避け「ウイルスとの共存」を選択。背景に騒動の散発。
・学校再開には賛否。チェック日を設け段階的に制限解除へ。
フランスは新型コロナウイルスの感染拡大の中、すでに2万4087人(4月30日時点)が亡くなった。そして、現在でもまだ4207人が集中治療室で治療され続けている。しかしながら、フランスは5月11日に外出禁止を解除するという大きな目標をもち、現在その目標に向かい、確実に前進し続けている。
■ 経済崩壊を防ぐためにウイルスと共存していく
4月28日、エドゥアール・フィリップ首相による演説が行われた。その演説の冒頭で語られたのは、外出禁止がこれ以上長引けば「経済崩壊のリスク」があるということだ。そして、その「経済崩壊」を防ぐためにも、「経済活動を再開させ、ウイルスと共存しながら活動していく」それが、現在、フランスが目指そうとしていることなのである。
▲写真 エドゥアール・フィリップ仏首相(2020年4月30日)出典:Édouard Philippe facebook
「崩壊」という言葉を演説で使ったフランスの首相は今までいただろうか?この「崩壊」という言葉はかなりのインパクトをあたえたようで、演説後にフランスメディアも大きく注目する言葉ともなった。
実際に、外出禁止期間はフランス経済に大きな影響を与えている。2020年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率が前期比でマイナス5.8%と、過去最大の落ち込みとなった。2月の景気報告では0.1%増を予測していたにもかかわらずだ。これは、1949年から開始された四半期のGDP評価の歴史の中で最大の減少であり、これ以上のマイナスにならないためにも、国の経済を回復させていくことが重要なのは、誰の目にも明らかだろう。
また、3月の失業保険申請件数は前月比で24万6100件(7.1%)増となり、月次の伸びは1996年の公表開始以降で最大になった。これは、外出禁止を受け雇用自体がなくなったことと、就業停止による一時的失業という枠が増加したことが理由としてあげられる。しかしこの一時的失業者は会社の活動が再開されれば再び雇用者となることが約束された失業者ともいえるが、もし外出禁止が長引き、戻れる会社自体がなくなればそのまま完全失業者になる可能性もあるのだ。
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