仏、「ウイルスとの共存」へ
Japan In-depth / 2020年5月2日 19時0分
さらに、外出禁止期間に大きく打撃を受けたのは低所得者層であり、テレワークができない層だ。例えば、パリの北東部に位置するセーヌ=サン=ドニ県は、フランスで最大の被害を受けた町だ。大部分が、最低賃金、失業者、または一時的な仕事から収入を得ている不安定収入の住民で構成されている町でもあったため、外出禁止により過酷な状況に追い込まれている。それらの町では、食料を買うお金にも困っている中、子供たちも学校で給食も食べられなくなり、食料配布を受けるために並ぶ人々の列が伸びている。今にも「飢餓による暴動」が起きるかもしれないと警告していた記者もいた。
「飢餓による暴動」はまだ起きてはいないものの、それでも、いくつかの騒動はおき始めている。18日に警察による検問で、バイクに乗っていた男性(30)が脚を骨折するけがをしたことが発端となり、パリ北部のビルヌーブ・ラ・ガレンヌで若者の集団が車に火を放ち、機動隊に爆発物を投げ付ける騒ぎが起きた。この騒動は数日続き、21日には小学校が放火される事件も起き、騒動は5つの町に及んだ。
またパリ郊外の他の町でも、いずれもまだ小さなレベルではあるものの、公共物などに火を付けられるようなことが起き始めている。筆者の近辺でも昔は危険な町とされてきたところがあるが、現在は大幅に改善され問題発生も少なくなっていた。しかし、この外出禁止期間中に約15年ぶりに車が2台燃やされるなどの事件が起きた。仕事も学校もない若者たちが警察の外出禁止の取り締まりが強化される中、ストレスがたまってきているのだ。
▲写真 「マクロナウイルス」とマクロン大統領を揶揄する落書き。題名には「40日間監禁」とも書かれている。(2020年4月25日撮影/パリ)出典:flickr / Paule Bodilis
このような状況を受け、5月11日からはテレワークは維持しつつも、テレワークでは働けなかった人たちも、できるだけ多くの人が活動していけるようにしていきたいというのが政府の希望だ。
■ 国民の反応
このフィリップ首相の演説の内容については、大多数の国民が賛成した。
OpinionWayの調査結果によると、承認率は、
テレワークの維持(93%)
公共交通機関でのマスク着用義務(91%)
スポーツと文化イベントの中止(82%)
証明書なしで移動OK(80%)
6月2日までの宗教儀式の禁止(80%)
高校の閉鎖を継続(77%)
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