防衛大臣囲み取材は「三密」
Japan In-depth / 2020年5月2日 23時0分
清谷信一(軍事ジャーナリスト)
【まとめ】
・防衛大臣囲み取材、三密の状態を続けて大臣にも危機感なし。
・危機管理が本分の防衛省、記者クラブとの癒着で指導できず。
・厳しい質問をするフリーランスの記者会見参加を未だ認めず。
新聞やテレビでは毎日これでもかというほど、新型コロナ・ウィルス関連の報道がなされている。役所も外出禁止を呼びかけている。だが、当の新聞やテレビ関係者、役所にそれほどの当事者意識があるのか疑問だ。
4月10日、防衛省定例の河野太郎防衛大臣会見が行われた。通常防衛省の会見は防衛省の中枢であるA棟、10階の会見室で行われるが、三密を避けるために11階のより広い会議室で行われた。参加者同士の距離は大きく取られて、入館に際しては手の消毒とマスクの着用が求められ、発熱のあるものは参加を自粛するように求められていた。また防衛省正門ゲートや建物の受け付けでは担当者がマスクに加えてゴーグルを着用したり、透明のシールドをかけたりしている。
▲写真 正門の様子 出典:著者撮影
▲写真 1Fに置かれている消毒液 出典:著者撮影
▲写真 透明のシールドをかけている受付 出典:著者撮影
ところが会議室の外で記者クラブ会員の記者たちが、いわゆる「囲み」、大臣を取り巻いての取材を行った。これは狭い廊下で密集して行われていた。これは「密閉」「密集」「密接」の三密に当たる。
そのような配慮をしていながら、三密状態の「囲み」を行うのであるから、記者クラブも大臣官房も上記のようなコロナ対策は単なるやっている感を出すだけのイベントと思っているか、当事者意識が欠けているのだろう。
因みに会見では密集を防ぐために参加は各社1名とされていたのに、少なくない記者クラブメディアから複数の記者が参加していたことからもそれがわかる。防衛記者会(クラブ)も広報課含む大臣官房も、コロナ・ウィルスは自分たちには関係ないと思っているようだ。
筆者は外国メディアの記者として会見に参加しているが、このような記者クラブの囲み取材に違和感をもった。報道室の担当者にはこれはやめるべきでは、と苦言を呈しておいた。ところがその後日の会見後も囲みは行われていたようだ。
筆者は4月24日の大臣会見に参加したが、その時河野大臣に以下のような質問をした。
Q: 4月10日の会見の後に、大臣、そこの廊下で囲みの取材に応じられたと思いますが、あれ、結構密集されていましたよね。あれがオッケーだったらこういう距離を置いた記者会見というのは、無意味なんじゃないでしょうか。
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