日本に最先端戦闘機開発の能力無し
Japan In-depth / 2020年5月10日 18時0分
「このシナリオがないとソフトウェアは組めずに、漠然とした『多目標処理』という要求にならざるを得ない。そのため、C-1試験機(FTB:Flying Test Bed)に搭載して確認したこともあって、アクティブ・フェーズド・アレイ・レーダーの技術試験は合格とされてしまった。しかし、実際は探知距離が短く、追尾中に急激な機動をすると、ロック・オンが外れるといった、全く『実用上は使い物にならない』レベルであったようである」
まともな戦闘機を開発している国ではありえない話だ。これは今に至っても同じだ。本気の国ならば実戦データをイスラエルなりから密かに購入するだろうが我が国はそういうことはしないし、諜報組織も存在しない。
公然手段ですらも行使する気がない。防衛省は諸外国の技術動向に極めて鈍感で興味もない。08年の技術研究本部(当時)年間の見本市やコンファレンスなどの視察予算は僅か93万円、で筆者の年間海外取材費より少なかった。
因みに出張者は6名であった。この僅かな予算で6名が出張しているということは、ホスト国からの招待だろう。つまり自発的に視察に行ってはいないということだ。
同年のユーロサトリには陸上担当の開発官の川合正俊陸将(当時)と一佐の二名(通訳を同行)が訪れたが、同陸将はその後一ヶ月ほどで退官して防衛とはまったく関係ない企業に再就職している。ただでさえ少ない視察予算が高官の「卒業旅行」に利用されているのだ。防衛省にとって海外視察は退職前のご褒美の物見遊山でしかない、ということだ。
これは防衛省が海外で積極的に装備に関する情報収集、分析を行っていないということだ。
この件は筆者が何度も報じたために、現在では当時に比べて出張は増えている。財務省も積極的に予算をつけているが、当の防衛省が海外視察を歓迎しておらず。できるだけ出さないようにしいる。そして、担当者には説得のために財務省が認めないと財務省を悪者にして出張させないケースも多い。これではまともな情報収集が出来るはずがない。
かつて海自は自分たちの掃海能力は世界最高だと自画自賛していたが、湾岸戦争後に掃海部隊をペルシャ湾に派遣したら、諸外国の掃海システムは自動化されて遥かに先進的だったことに驚愕した。自分たちの装備は第二次大戦当時と大した差がない旧式なものだった。びっくりした海幕は慌てて欧州製の掃海装備の導入を決定した。
このように防衛省、自衛隊は海外の実情を知らずに、自分たちは世界最先端で優れているという根拠なき選民意識をもっている。端的に言えば井の中の蛙、大海を知らず、である。そのような組織が最先端の戦闘機を開発できますといって、無邪気に信用できるわけがない。
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