日本に最先端戦闘機開発の能力無し
Japan In-depth / 2020年5月10日 18時0分
秘密主義も問題だ。F-2のレーダーに不具合があったが空幕は「何の問題もない」と大本営発表を続けていた。納税者に不利な情報を隠蔽して防衛省、自衛隊は過ちを犯さずと強弁するのだ。
このレーダーの不具合の改修にはかなりの年月がかかったが、三菱重工幹部にいわせると技本が関わらず、自社が全部やればもっと早く不具合は直ったと証言していた。空幕はF-2の調達数を削減したが、その理由をのべてない。だがこれはF-2が駄目な戦闘機だったという告白しているようなものである。
陸自のヘリ型UAV(unmanned aerial vehicle : 無人機)FFRS(Flying Forward Reconnaissance System : 長距離偵察システム)も防衛省は、開発は大成功とホームページで自画自賛していたが、東日本大震災では一度も飛ばなかった。これは信頼性が低かったためで、後に防衛省は国会答弁でも認めている。その後FFRSの調達はこっそりと停止されたが。その報告は納税者にはなかった。こういう組織の言う「大丈夫」を信用できるだろうか。
▲写真 防衛省(東京・新宿区)出典: flickr / Guilhem Vellut
そのようなネガティブな情報を納税者や政治家に開示せず、官は誤りを犯さずという尊大な態度が習い癖になっている。このため出来の悪い装備を作っても反省もせず、同じ過ちを何度でも繰り返している。
海外市場で売り物になる機体を作るがどのくらい難しいかはMRJ(現スペースジェット)の苦戦をみればよく分かるだろう。それで理解できないならば当事者意識がないということだ。
本当に国内の開発・生産基盤を維持したいならば、米国以外のパートナーとの共同開発をするべきだ。その場合、高い性能は求めず、米空軍が採用したレッドホークのような練習機を採用し、それをもとに軽戦闘機を開発すべきだ。そうすれば練習機、戦闘機合わせて200機以上は生産が確保でき、調達単価も下がるだろう。
より現実的なのは米国以外の国、例えば英国、独仏が進めている戦闘機開発にパートナーとして参加すること、あるいはスウェーデンとの共同開発だろう。
当事者能力も、必要な技術力、資金も無い中で「最先端のマルチロール戦闘機」を総花的に開発しようとするならば、ドブに金を捨てることになって、航空産業と航空自衛隊を弱体化させるだけだ。
トップ写真:F-22ラプター 出典:U.S. Air Force photo by Senior Airman Gustavo Gonzalez
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