19式自走榴弾砲を安価に調達する方法
Japan In-depth / 2020年5月16日 23時48分
最大のコンセプトは安価で国産榴弾砲を調達することあり、実戦で使用することは想定していないとしか思えない。
榴弾砲だから防弾性能も機銃もいらないのだと19式を擁護する主張もあるが、それでは99式など、これまでの国産や外国製自走榴弾砲は装甲、機銃を有しているのか。こちらの弾が届くということは相手の弾も届くということだ。そのために対砲レーダーは存在している。
しかも陸自は火砲削減の一環でより長射程のMLRS(多連装ロケットシステム)を廃止するが、仮想敵の中国は155ミリ榴弾砲より長射程の地対地ミサイル、ロケットを多数揃えている。また中国は自衛隊よりも遥かにドローンの導入と運用が進んでいる。攻撃ヘリも多数揃っている。射程が同じ榴弾砲を有していても、情報化の遅れた自衛隊の特科は先に発見、攻撃されて殲滅される可能性が高い。自分が先に撃たれないというのは願望に過ぎない。
敵が大規模な部隊を揚陸してくるということは自衛隊や米軍の制海権、制空権の維持も怪しいということだ。制空権がなければ19式は容易に探知され、地対地ロケット、ミサイル、武装ドローン、攻撃ヘリ、特殊部隊などから攻撃されるだろう。つまり、19式は戦場では一方的に虐殺されて全滅する可能性が極めて高い。
▲写真 99式自走榴弾砲が活躍するような大規模着上陸作戦を防衛大綱では想定していない ©清谷信一
陸自はイージス・アショア、オスプレイなど高額で不要な装備を官邸から押し付けられており、予算が非常に乏しい。しかも今後は70~90年代に導入された装甲車輌の更新や、UH-2ヘリコプターの調達も待っている。怪しげな新型榴弾砲を導入する余裕は本来ない。
だが、どうしても19式の調達を続けたいならば調達単価を劇的に下げ、かつ実用的に改善する方法がある。
それは130両以上ある99式自走榴弾砲をバラして、19式の資材として再利用することだ。基本的に19式も99式も砲は同じものだ。その他多くのコンポーネントも流用できる。そうすれば劇的にコストを削減できる。
防衛大綱では敵が大規模な部隊を本土に上陸させてくる可能性は極め低いとしている。主たる脅威は弾道ミサイル、ゲリラ・コマンドウによる攻撃、島嶼の防衛だ。そうあれば大規模機甲戦闘を想定した99式は過去の遺物だ。しかも装軌式であるために維持・整備費が高い。これを用途廃止する方がメリットは大きい。
99式の榴弾砲を19式に流用し、キャブは5人乗りの装甲型に変更する。NBCシステムも搭載する。あるいは99式の自動装填装置を再利用して採用し、キャブは装甲化した3人乗りとする。武装として12.7ミリ機銃を搭載したRWSを採用する。これらの変更で重量は増えるが、C-2への搭載を諦めればなんの問題もない。このような生存性と性能を向上させてもコストは現在の調達価格よりは相当安くなるだろう。
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