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「黒人の命も大切」ではなく「黒人の命こそ大切」

Japan In-depth / 2020年6月4日 18時31分


▲写真 NE Alberta Street, Portland Oregon. 30 May 2020 出典:flickr by drōz.da


彼らは、黒人が白人による迫害や抑圧に抗議する象徴的な言葉である「I can't breathe」を乗っ取ったばかりでなく、それを念仏のように唱えることで、「自分たちは黒人との連帯者であり、加害階級ではない。だから同じ被害者である」と示唆しているように見えたからだ。人種上のアリバイ作りである。


この国で特権階級である人種に属し、「白人州」であるがゆえに人種問題も見えにくい場所において、白人たちは「I can't breathe」と言う資格はないはずだ。どうしても連帯を示したいのであれば、「彼らは息ができない」を意味する「THEY can't breathe」を叫ぶべきなのである。彼らは、建国以前から黒人に対して一貫して加害を行う人種に属する者として、黒人の訴えを薄めたり、利用したり、乗っ取るべきではないと感じた。


その点で、有名な白人女性歌手であるテイラー・スウィフト氏(30)が、黒人のための正義そのものを訴えるのではなく、自身の政治的な目的のためにトランプ大統領(73)の黒人デモに対するツイートを批判し、「11月の選挙で落選させる」と述べたのは、その象徴であったといえよう。


個人のレベルを超えた人種集団としての白人は、黒人の命を奪い、人間性さえ奪いながら、それだけではなお足らず、彼らの正義への訴えさえ乗っ取っているからだ。



▲写真 George Floyd Memorial, Minneapolis 出典:flickr by Chad Davis


この傾向には一貫性がある。オレゴン州のスポーツウェア大手ナイキは、自社スローガンである「Just Do It」をもじって、「Don't Do It(やらないでください)」とツイートし、差別的行為に背を向けないように訴えた。


そのナイキは、オレゴン州の地元有力広告代理店であるウィーデン+ケネディに依頼した2018年のテレビ広告に、黒人アメフト選手コリン・キャパニック氏(32)を起用、彼が象徴する「Black Lives Matter(黒人の命が大切)」をサポートする形を取りながら、巧妙にフェミニズムやイスラム文化許容、障碍者などの別要素を紛れ込ませ、中心的メッセージであるはずの「黒人の命が大切」を希薄化したことは、よく知られる。


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