日産よ、復活の狼煙を上げよ
Japan In-depth / 2020年6月7日 18時0分
▲写真 日産KICKS 出典:タイ日産
■ 日産の戦略:不思議その3
筆者はこれまで、ルノー・日産・三菱自動車のアライアンスには大いに期待していた。かつて取材した日産自動車の志賀俊之COO(当時)は、いまだかつてない「アライアンス」という資本の論理で相手を従属させない、緩やかな連合関係はもっと評価されてよい、と強調していた。
筆者もこれまで、幾多の買収、提携劇を見てきたが、うまくいった例はほとんどない。三菱自動車が入る前の、ルノー・日産アライアンスは2020年までに車両の70%を共通プラットフォームにすると宣言していた。大幅に開発費を削減できるというふれこみだったが、実際は40%程度にとどまっているようだ。ゴーンがいなくなったとたん、これまでの経営拡大路線のつけが回ってきたといわれても、納得できないのは株主だけではなかろう。5月27日の記者会見で、3社はまたぞろモデル開発費を40%削減する、と宣言したが、それはとうに達成していなければいけなかった目標の焼き直しに過ぎない。
アライアンスの効果がなぜ思ったほど出なかったのか、それが第3の不思議だ。
■ 日産は復活できるのか?
自動車産業はとてつもなく巨大な装置産業だ。一つのモデルをたくさん生産し、たくさん売ることで利益が上がる。一方それは、売れないモデルを抱えたメーカーは一気に採算が悪化する、ということでもある。つまり絶えずヒット商品を出し続けなければいけない宿命にある。無論すべての産業に同じことが言えるのだが、規模が巨大すぎてその振れ幅もでかいのだ。
ゴーン被告のリーダーシップをもってしてもできなかったことが、新経営陣に簡単にできるとは思えない。しかし、これだけ巨額の赤字を出してしまった以上、やるべきことは明らかだ。
一番即効性があるのは「大規模なリストラ」だ。ゴーン・ショックと同規模のリストラを行わない限りV字回復はない。が、当時の塙義一元会長・社長が外国人であるゴーン被告にリストラを託したように、今の内田誠社長には無理だろう。
となると、やはりアライアンスのシナジーを出すしかない。その戦略とは、今回指摘した日産の不思議のその1とその2、電動化技術とe-POWER技術、プラス自動運転化技術で攻勢をかけることが一つ。
二つ目は、プラットフォームの共通化を加速させること。開発費削減のためにはこれしかない。なぜこれが遅々として進まないかというと各車両の開発技術者のプライドが邪魔をするからだ。だれだって自分のモデルは守りたい。プラットフォームが共通化されるだけで、自分の開発余地は限定される。技術者としてそれは当然受け入れがたいことであろう。ましてそれを日仏3社間で進めねばならないのだから、共通化は困難を極めるだろう。しかし、それをなんとしてもやらねばならない。ゴーン被告のようなカリスマに頼ることはもはや出来ないが、トップダウンで強力に推し進めない限り、日産に未来はない。
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