どうなる?取り調べへの弁護人立会い
Japan In-depth / 2020年8月21日 20時45分
▲写真 周庭氏 出典:Flickr;inmediahk
では日本と司法手続きが異なるのか香港だけなのか。アメリカでは、身体を拘束して取調べを行い際には予め「弁護士の立ち会いを求める権利があること」など4項目を伝えない限り、取調べでの供述は裁判の証拠にはなり得ないとする憲法上の原則(ミランダ・ルール)が存在する。
EUは「刑事手続における弁護人に対するアクセス権および逮捕の際に連絡する権利に関する指令」(2013年)で弁護人が取調べに立ち会う権利を認めており、全加盟国で遵守が義務付けられているほか、台湾や韓国でも取調べでの弁護人立ち会いが認められている。
日本の現在の刑事手続きは、国際機関から強い懸念を示されている。国連自由権規約委員会と拷問禁止委員会はぞれぞれ総括所見で取調べでの弁護人立ち会いが認められていないことに懸念を示している。
日本の刑事手続きが国際的に批判されたことを受けて法務省は、日本の刑事手続きへの国際的理解を得るための方策が必要だとしている。今日本に求められているのは制度への説明ではなく、国際的ルールに従った公正で透明な制度改革なのではないかと四宮氏は訴えた。
▲画像 出典:緊急オンライン勉強会「国際的に恥ずかしい刑事手続きからの脱却なるか」〜法務省の新「刷新会議」と取調べへの弁護人立ち会い〜より
■ 日本の現状と実現に向けて
続いて弁護士の川崎拓也氏が「日本での弁護人立ち合いの実現に向けて」というタイトルで基調講演を行い、弁護人立ち会いに関する日本の現状と取り組み、そして今後の期待について説明した。
日本では身体拘束(逮捕)されている事件、在宅事件(任意捜査)ともに立ち合いはほとんど認められていないのが現状だ。弁護士が立ち会いを求めても「立ち会いを認める規定は刑事訴訟法にない」などの理由で拒否されてしまう。
しかし、郵便不正事件を巡り長期間拘留された村木厚子氏が「取り調べというのは、リングでアマチュアのボクサーとプロのボクサーが上がって試合をする、レフェリーもいないしセコンドも付いていないという思いがした」と述べたように、取調べでは被疑者が圧倒的に不利な状況に置かれる。迎合的な性格の人や障がいのある人、外国人、少年などの「供述弱者」だけでなく、一般の人にとっても取調べ中に「プロのセコンド」が付くことの意義は大きい。
▲画像 出典:緊急オンライン勉強会「国際的に恥ずかしい刑事手続きからの脱却なるか」〜法務省の新「刷新会議」と取調べへの弁護人立ち会い〜より
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