コロナと感染症法の見直し
Japan In-depth / 2020年8月29日 13時13分
上昌広(医療ガバナンス研究所 理事長)
「上昌広と福島県浜通り便り」
【まとめ】
・コロナは鳥インフルやSARSと同様の「二類相当」に分類。
・国はコロナを二類相当から外し、宿泊療養施設の確保するべき。
・厚労省はエッセンシャル・ワーカーへの保障を充実させる必要がある。
新型コロナウイルス(以下、コロナ)対策の見直しが進んでいる。コロナの世界的な流行が続く以上、第三波の襲来は避けられない。特に冬場は危険だ。インフルエンザが流行し、街中に発熱患者が溢れる。体制を整備しなければ、混乱は避けられない。まず対処すべきは、コロナ対策の基本である感染症法の見直しだ。
厚労省が取りかかったのは、コロナの感染症法での位置づけの見直しだ。8月26日、共同通信は「コロナ、2類相当の見直し検討―軽症・無症状を入院除外も」と報じた。記事には、「厚労省に助言する専門家組織で議論し、結論を踏まえ政府として「できるだけ速やかに対応する」(加藤勝信厚労相)方針だ。政府内には2類相当からインフルエンザ相当の5類への引き下げを容認する考えが出ている」とある。これは筆者が入手している情報とも一致する。
現在、コロナは感染症法の「2類相当」と定められている。これは鳥インフルエンザやSARSウイルスと同じ扱いだ。原則として、感染者は指定医療機関に入院し、濃厚接触者はPCR検査を受け、その後も保健所が定期的にフォローする。
その後の臨床研究で、コロナ感染の大部分が無症状あるいは軽症であることが判明した。このような感染者を強制的に入院させることは、医学的には適切ではない。個人の人権を侵害するし、また引き受ける病院に過大な負担をかける。時に院内感染を引き起こし、入院中の患者を死亡させることもある。
厚労省は、このような理由からコロナを二類相当から外すことを検討している。28日には安倍総理が方針を表明するそうだ。メディアも、この方針を支持している。
私は、「二類外し」は大きな問題を孕んでいると考えている。場合によっては、厚労省や都道府県が責任を回避し、負担を感染者に押しつけるだけになりかねない。
それは現在の感染症法の枠組では、二類相当を外せば、五類相当とするしかないからだ。表は2014年3月厚労省が作成した感染症法の分類だが、これを見れば、この問題がご理解いただけるだろう。五類の代表が季節性インフルエンザだ。二類を外すということは、季節性インフルエンザと同じ扱いになることを意味する。(下の図)
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