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安倍外交、お世辞抜きの大成功

Japan In-depth / 2020年9月2日 18時0分

安倍外交、お世辞抜きの大成功


宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)


宮家邦彦の外交・安保カレンダー【速報版】 2020#36


2020年8月31日-9月5日


【まとめ】


・安倍首相辞任後の筋書き、何種類か準備され、吟味されていたろう。


・安倍外交8年は大成功。外交の〝残り物〟は元々成果出すのは困難。


・この期間は、戦後日本外交史上最も戦略的な外交活動が可能だった。


 


日本内政が突如動き始めた。先週は「米国内政が動き始めた」と書いたが、そのインクが乾く間もなく、今度は日本の政局だ。先週28日に安倍首相が「突如」健康を理由に辞任を表明して以来、東京の政治天気予報は天気図自体が変わってしまった。日本の外交政策はどうなるのか。これが諸外国と筆者の最大関心事である。


首相辞任の第一報をNHKが流したのは28日2時過ぎだったか。偶々、読売テレビ「そこまで言って委員会」のリモート録画の真っ最中、しかも安倍首相の健康問題が番組最後のテーマだったので、スタジオ内は緊迫したらしい。そりゃそうだろう、筆者も、他の出演者と同様、前日自民党で流れた楽観論を前提に話していたのだから。


安倍首相の辞任といえば、13年前の2007年9月を思い出す。当時は首相夫人の補佐役だったが、内々辞任の意向を知らされたのは記者会見当日の朝、発表のわずか半日前だった。今回もごく限られた側近しか知らなかったのは当然。政治家の健康情報なんてそんなものだ。調子よくぺらぺら他人に喋れる筈がないだろう。


それにしても、13年前とは異なり、今回は時間的余裕があり、かなり制御された『突如』の辞任会見になったと思う。恐らくこのXデー以降の筋書きは、何種類か既に準備され、そのうち幾つかは相当程度真面目に吟味されていたことだろう。少しでも日本内政に知見がある者なら、その程度のことは容易に想像がつくというものだ。



▲写真 記者会見で辞任を表明した安倍首相(2020年8月28日 首相官邸) 出典:首相官邸 facebook


ところが外国人記者にはこれが分からない。これまで何人かの米国人ジャーナリストから照会はあったが、日本語ができない彼らには、なぜ人気No1の石破さんが苦戦しそうなのか、なぜ安倍さんの意中の人・岸田さんが孤立しそうなのか、なぜ若い河野さんや小泉さんの出馬の可能性が低いのか、よく理解できていないようだ。


いずれにせよ、近く第二期安倍内閣の足掛け8年が終わる。8年間の外交はお世辞抜きで大成功。勿論成果が出た場合より、出せなかった場合の方が多いのは仕方がない。外交の残り物には福などない。残り物だからこそ、成果を出すのが困難なのだから。ここら辺は今週の産経新聞と日経ビジネスに書いたのでご一読願いたい。


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