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カメラは見た!米有権者の熱

Japan In-depth / 2020年11月8日 19時0分

カメラは見た!米有権者の熱




柏原雅弘(ニューヨーク在住フリービデオグラファー)





【まとめ】





・現職トランプ大統領の政権は1期4年で終わろうとしている。





・期日前投票に長蛇の列。空前の投票数になる可能性。





・いつもの選挙の「熱狂」とは別の、人々の「情熱」を見た。









数えてみたら、テレビのカメラマンとして、今年でアメリカの大統領選挙の取材は8回目なのであった。





遊説する大統領を直接取材する年もあれば、選挙に関連する周辺取材に終始してしまう年もある。今年は後者だ。しかし、30年間アメリカで過ごしてきて、今年の大統領選挙は良くも悪くも一番印象に残る選挙になることは間違いないと思われる。





思い出せば、私がアメリカに来て最初に取材した大統領選挙は、1992年。民主党のビル・クリントンが現職のブッシュ(父)大統領に挑んだ選挙であった。





話は私が日本で仕事をしていた1989年2月に遡る。





この年、昭和天皇が崩御し、皇居で執り行われる葬儀にあたる大喪の礼に参列するために、羽田空港には多数の外国の賓客が到着していた。





それらを空港の滑走路横で撮影をしながら、私の隣でカメラを構える「何回かアメリカの大統領取材の取材経験がある」という大先輩スチルカメラマンが、まだかなり遠くに見える機影を指差しながら、「あれがブッシュ大統領のエアフォース・ワンだよ」と私に教えてくれた。





ブッシュ大統領が乗っているという当時の大統領専用機ボーイング707は、民間でももうあまり使われていない老朽機で、大先輩が指差す遠くの機影は、飛行機そのものより吐き出す排気ガスが目立ち、他の国の首脳はそんなオンボロ飛行機には乗ってこないので、アレがアメリカ合衆国大統領が乗った飛行機だ、というわけである。





飛行機が到着し、タラップに姿を現した「アメリカ合衆国大統領」という人を初めて目の辺りにして、当時の私はいたく感激した。他にもテレビでしか見たことのない有名な賓客は多数いたが、アメリカの大統領は自分にとっては別格の存在感があった。





この仕事が日本での最後の大きな仕事となり、数カ月後、私は会社を辞め、別の会社に就職、渡米した。





そして1992年を迎えた。





この年、自身初の大統領選挙の取材もすることになり、ブッシュ大統領を生で再び拝めることになった私は、勝手に縁だ、と決めつけたこともあり、初の大統領選挙の取材に並々ならぬ関心があった。





共和党のブッシュ大統領は2期目をかけた選挙であったが、冷戦の集結をもって回復するかに思われた経済はなかなか回復せず、それを12年続いた共和党政権の失策、とした民主党の候補、ビル・クリントンは、当時40代なかば。若さと民主党政権という変化に期待した国民に広く受け入れられ、当選。





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