防衛省、「コロナ対策」しているフリ
Japan In-depth / 2020年11月18日 23時51分
清谷信一(軍事ジャーナリスト)
【まとめ】
・防衛大、朝霞駐屯地、予備自衛官訓練でずさんなコロナ対策。
・衛生職種の予備自衛官が感染なら医療崩壊も。参加者が懸念。
・「三密」に危機感ない大臣では、現場の信頼と士気の低下招く。
防衛大臣が記者クラブと「三密オフレコ取材」していて現場が真面目にコロナ対策をするか?
防衛省のコロナ対策は外から見えるところで「やっている感」を出しているだけではないだろうか。取材をしているとそのように感じる。
防大校長ら幹部は学生に三密状態を強要しておきながら、秋季定期訓練中に國分良成防衛大学校長、梶原直樹陸将ら防衛大の幹部が山梨県のほうとう屋でマスクもせず、アクリル板の衝立もないなかで宴会をやっている写真が自衛隊支援者のSNSにアップされた。これは大臣通達違反だが、防衛大首脳は反省よりも事実の隠蔽と外部に漏らした犯人探しにやっきだという。
▲写真 出典:防衛大学校ホームページ
当事者能力の欠除に関して等松春夫・防衛大学校教授が、一連のコロナ禍対応をめぐる不祥事を告発する「申立書」を岸信夫・防衛相および防衛監察本部に対して送付する異例な事態となっている。
公益通報した等松教授は学内で名前を名乗らない2人の男性からいきなり呼び止められ、公益通報は情報保全義務に反していると圧力を掛けられている。(参考:NEWS ポスト セブン『防衛大教授が学内コロナ不祥事直訴 防衛相に告発状提出騒動』)
だが、ことは防衛大だけではない。陸上自衛隊朝霞駐屯地では、9月に研修のため全国から集められた女性隊員が新型コロナウイルスに集団感染し、全国18都道府県の29駐屯地43人にまで感染が拡大した。だがこのような事態が起きた後も、同駐屯地ではまともなコロナ対策は取られていないようだ。
11月27日より5日間にわたり、陸上自衛隊朝霞駐屯地では衛生職種の「予備自衛官招集訓練」が行われる。これは普段は医師や看護師として働いている衛生職種の予備自衛官用の訓練だ。これには東京・千葉・埼玉・神奈川・栃木・茨城・山梨・長野・新潟・静岡他から医療従事者が参加する。だが新型コロナウイルスに対する特段の感染予防策がなされないままに実行されようとしている。
▲写真 集団感染が発生した陸自朝霞駐屯地 出典:Ebiebi2
今回の訓練参加者に際しては訓練出頭日の2週間前からの検温の実施と、呼吸器症状の有無、呼吸器以外の症状(下痢・嘔吐・倦怠感)の有無、人が密集する空間で開催されるイベント等への参加の有無の自己申告が求められているが、それだけだ。
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