「弁護人取り調べ立ち会いは可能」法務省新見解
Japan In-depth / 2020年11月27日 18時23分
森氏は、無実にも関わらず長期間拘留された元労働官僚村木厚子氏の事件後、2010年に設立された「検察の在り方検討会」でも弁護人立ち会いは議題に上がりながら、今日まで本格的な議論が行われなかったことに懸念を示した。
森氏は、「議論自体もできていないことが、民主主義の我が国において正常な状態なのか」と危機感を示し、「(刷新会議)が法曹だけでなく一般市民からも幅広い意見を出せる場であってほしい」と期待を述べた。
■ 基調講演「『刷新会議』の議論の現状、日本の現状、諸外国の現状、今後への提言」
刷新会議委員の法学者後藤昭氏、弁護士の川崎拓也氏が基調講演を行った。
まず後藤昭氏が、刷新会議の現状と今後の課題について述べた。
「取り調べへの弁護人立合い」制度の不整備は、被疑者の権利保護・取り調べの真実解明機能の観点から批判されている。この批判に対する法務省の回答は、理解を得るどころか疑念を増幅させている。
「そこ(編集部注:法制審議会)での議論では、弁護人が立ち会うことを認めた場合、被疑者から十分な供述が得られなくなることで、事案の真相が解明されなくなるなど、取調べの機能を大幅に減退させるおそれが大きく、そのような事態は被害者や事案の真相解明を望む国民の理解を得られないなどの意見が示されたため、弁護人の立会いを導入しないこととされた経緯があります」。
(出典:法務省「我が国の刑事司法について、国内外からの様々なご指摘やご疑問にお答えします。」)
現状の変革なしに「国際的な理解を得る」ことは不可能だ。「取り調べへの弁護人立ち会い」は憲法や国際人権法に照らして正当な権利であり、それが享受されていないことは事実であるからだ、と後藤氏は説明した。
「刷新会議の議論は難航している」という。刑事手続きの変更について議論すること自体への反対をようやく乗り越えたが、村木厚子氏など「人質司法」経験者へのヒアリングの提案は採用されなかった。最も実現可能性の高い決着点は「別の会議体での議論を提案すること」だという。例えば、2016年に成立した改正刑事訴訟法の検討時期に併せて議論を行うことが考えられる。
(注:法務省「刑事訴訟法等の一部を改正する法律附則9条」)
しかしこれでは、議論の先送りを繰り返すことになるかもしれない。後藤氏は、生産的な議論をするためには「試しにやってみることが大事」と語る。「取り調べへの弁護人の立ち合いは、現在の法制度でも可能だということがはっきりした。経験に基づいた具体的な議論ができるよう、試行を実現すべきだ」。
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