「弁護人取り調べ立ち会いは可能」法務省新見解
Japan In-depth / 2020年11月27日 18時23分
試行の実現を目指す案は、既にいくつか検討されている。「検事総長から検察官へ、弁護人立ち会いに関する実施基準を通知する」、「弁護士会、法務省または検察庁による、試行に向けた話し合いの場を設ける」というものだ。今後、合意を目指して議論を進めていく。
▲写真 後藤昭氏 出典:勉強会のオンラインミーティング画面からキャプチャ
次に、川崎拓也氏が、実務の面から現状と今後について話した。
川崎氏は、刷新会議で法務省が示した、取り調べへの弁護人の立ち会いは検察官が「個別の事案ごとに適切に判断すべき」との見解は、「実情とは違う」と述べた。弁護士が検察官に対して立ち会いを求めると、多くの場合「立ち会いを認める規定は刑事訴訟法にない」「全社的な対応として認められない」などと拒否されるという。
弁護人の立ち会いを認めない理由としては、次の3点が説明される。
・取り調べの機能を損なう
・関係者の名誉・プライバシーが害される
・捜査の秘密が害される
川崎氏は、「一言で反論できるようなことばかり」だという。黙秘権が保障されるなど取り調べは弱い力しか持っていないこと、取り調べの録音・録画が実施されていること、被疑者と弁護人との接見が実施されていること、弁護人が守秘義務を負っていることなどを考えると、検察側の主張の根拠のなさが浮き彫りになる。
川崎氏は、取り調べへの弁護人の立ち会いは検察官個別の裁量で実施可能だということが明示されたことに、希望を見出している。立ち会いの申し入れを「全社的に」拒否されても「粘り強く『あなたはどうなのですか』、『個別のこの事件はどうなのですか』と言えるようになる」からだ。
川崎氏は、「現場の検察官との具体的な議論や、経験の蓄積によって、弁護活動をステップアップしていく必要がある。最終的には全件で取り調べへの弁護人の立ち会いが実現することが我々の最終目標だ」と述べた。
▲写真 出典:勉強会のオンラインミーティング画面からキャプチャ
■ 有識者からのコメント
弁護士の四宮啓氏が、国際的な観点から取調べへの弁護人立ち会いについての現状を解説した。
四宮氏はまず、アメリカ、EU、台湾、韓国では弁護人の立ち会いが認められていること、また日本が批准している自由権規約においても弁護人の立ち会いが求められている事実を紹介した。
国連人権理事会の作業部会は11月20日、ゴーン氏が勾留されたことについて「恣意的拘束」にあたるという意見書を発表した。国連人権理事会は「当意見はゴーン氏の国外逃亡に関する見解を表明するものではなく、逃亡を正当化するものではない」と前置きしたうえで、「刑事被疑者が身体拘束の最初から、取調べ中も、弁護人へのアクセスを保障するよう勧告する」とコメントした。
▲写真 出典:勉強会のオンラインミーティング画面からキャプチャ
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